ミニ中国流

ミニ中国流とは

ミニ中国流は、囲碁における布石の一種で、特に序盤において主導権を握るための戦略的な手法です。具体的には、右上隅の空き隅、小目、そして相手の星へのカカリから、星脇への開きまでの一連の配置を指します。この配置は、下辺に展開される黒の配置が特徴的で、中国流の布石に似ていることからこの名がつけられました。

歴史

ミニ中国流は、近年特に流行している布石ですが、その起源は意外にも古く、約400年前には本因坊道策によって試みられていました。そのため、道策流とも呼ばれることがあります。

特徴

ミニ中国流の特徴は、そのスピード感と攻撃的な性質にあります。中国流と同様に、素早く陣形を整え、相手の侵入を厳しく叩き、主導権を握ることを目指します。また、下辺と右辺の両方に模様を広げることができ、状況に応じて柔軟に対応できる点も魅力です。

例えば、白がカカリで侵入してきた場合、黒は受けで応じ、白が根拠を築く前に下辺や右辺を固め、有利な展開を期待できます。このため、白は右辺への割り打ちで対抗するのが一般的ですが、黒はこれをツメやケイマで迎え撃ち、下辺を大きく地化しようとします。近年では、肩ツキやツケといったより攻撃的な手法も開発されており、ミニ中国流の進化は今も続いています。

白の対策

1990年代には、日本、中国、韓国でミニ中国流が広く流行し、黒番必勝の布石とまで言われるようになりました。この布石が完成すると、白からの有効な対策が難しいため、ミニ中国流が完成する前に妨害する策が様々に検討されました。例えば、6手目でハサミを打つ、あるいはカカリ返しをすることで、ミニ中国流の完成を阻止することができます。ただし、これらの対策が黒にとって不利になるわけではありません。

類似の布石

河野臨は、ミニ中国流の黒7の位置を少しずらした、「ミニスモール中国流」や「ミニベトナム流」と呼ばれる布石を考案しました。この布石は、平成以降に流行しており、井山裕太や一力遼などの若手棋士を中心に研究が進められています。

参考図書

ミニ中国流に関する研究は多岐にわたり、様々な書籍が出版されています。

江鋳久、芮廼偉『囲碁 世界のミニ中国流研究』（誠文堂新光社） 2001年 ISBN 978-4416701089
林海峰『ミニ中国流の徹底解明 最速の方程式（MYCOM囲碁ブックス）』（毎日コミュニケーションズ） 2005年 ISBN 978-4839917500
李昌鎬『李昌鎬の最先端布石 ～ミニ中国流＆星の両ガカリ～』（毎日コミュニケーションズ） 2011年 ISBN 978-4839939694
河野臨『スモール中国流布石 徹底ガイド（MYCOM囲碁ブックス）』（毎日コミュニケーションズ） 2011年 ISBN 978-4839940225
村川大介『基礎からわかる ミニ中国流の教科書』（マイナビ） 2014年 ISBN 978-4839951085
鶴山淳志『三連星・中国流・小林流を極める72の手筋』（マイナビ） 2018年 ISBN 978-4839965204

関連項目

三連星
小林流

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