上甑町中野

上甑町中野（かみこしきちょうなかの）

鹿児島県薩摩川内市に位置する上甑町中野は、甑島列島の上甑島の中央部に位置する、人口約40人（2020年時点）の小規模な集落です。この地は、豊かな自然と古い歴史が共存する場所として知られています。

地理

上甑町中野は、薩摩半島の西に浮かぶ甑島列島の北部に位置する上甑島の中央部にあります。集落の南には上甑町江石、西には上甑町中甑が隣接し、その他の地域は里町里と接しています。中津川の流域に広がる農村地帯であり、川沿いの平地には田畑が広がり、山裾には家々が点在しています。

集落内には、中野の氏神である厳島神社があります。この神社は、平家の落人が故郷の安芸国（現在の広島県）の厳島神社を勧請して創建されたと伝えられており、当初は弁財天と呼ばれていましたが、明治時代に厳島神社と改称されました。また、集落の中央部を東西に鹿児島県道348号桑之浦里港線が、北部を鹿児島県道352号瀬上里線が通っています。

自然

上甑町中野は、甑島国定公園の一部であり、そのほとんどが国定公園区域に含まれています。特に、一部地域は特別地域に指定されており、手つかずの自然が残されています。この地域は、熱帯・亜熱帯に分布するシダ植物であるヘゴの自生北限地帯としても知られ、国の天然記念物に指定されています。このヘゴの自生地は、学術的にも非常に貴重な場所となっています。

歴史

上甑町中野は、上甑島内で最も早く人が住み着いた場所の一つと言われています。特に、垣内と呼ばれる地域は中世に開墾された場所だとされており、古い歴史を物語っています。

「中野」という地名は、江戸時代にはすでに存在しており、薩摩国甑島郡甑島郷の中野村でした。当時の村高は、「三州御治世要覧」によれば93石余、「旧高旧領取調帳」では107石余と記録されています。また、伊能忠敬が著した「九州東海辺沿海村順」には、上甑村として64軒の家があったと記されています。

1889年（明治22年）の町村制施行により、上甑島及び中甑島の全域が上甑村となり、中野村は上甑村の大字「中野」となりました。その後、2004年（平成16年）に上甑村が川内市などと合併し薩摩川内市が誕生。この合併に伴い、大字名は「上甑町中野」と改称されました。

文化財・施設

上甑町中野には、以下の文化財や施設があります。

国指定天然記念物：ヘゴ自生北限地帯
熱帯・亜熱帯に自生するシダ植物ヘゴの自生北限。
厳島神社
平家の落人によって創建されたと伝えられる神社。
中野地区集会所
地域住民の交流拠点。

交通

上甑町中野には、以下の道路や公共交通機関が利用できます。

道路
鹿児島県道348号桑之浦里港線
鹿児島県道352号瀬上里線
バス
甑島コミュニティバス「甑かのこゆりバス」が運行。
中野地区には「中野」バス停がある。

小字

『角川日本地名大辞典』には、上甑町中野の以下の小字が記録されています。

橋ケ迫、遠目木、椎ノ森、滝ノ元、木ノ田ヶ迫、倉谷、木ノ口、尾崎、梶原、垣内、小段、古田、橋ノ上、薬師田、池平、鳥越、奥渡、永畠、中町、古門、橋ノ元、竹ノ元、平尾、村ノ上、石田、（穴かんむりに隹と鳥）田

人口推移

国勢調査によると、1995年以降の人口は以下の通り推移しています。

（具体的な人口データは、必要に応じて別途記載してください）


上甑町中野は、自然豊かな環境の中で、歴史と文化を受け継ぎながら静かに暮らす人々が生活している場所です。訪れる際には、自然と歴史に触れ、ゆっくりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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