里町里

鹿児島県薩摩川内市里町里

里町里（さとちょうさと）は、鹿児島県薩摩川内市の大字であり、甑島列島の上甑島の北東部に位置します。かつては里村として独立した自治体でしたが、現在は薩摩川内市の一部となっています。この地域は、特異な地形と豊かな自然、そして長い歴史を持つことで知られています。

地理

里町里は、上甑島の北東端に位置し、甑島列島の中で最も本土に近い場所にあります。西側は上甑町の他の地域と接しており、その他は東シナ海に面しています。北東部には、近島、松島、筒島など、多数の無人島が含まれます。

特徴的な地形

この地域で最も特徴的なのは、上甑島と遠見山の間に形成されたトンボロ（陸繋砂州）です。このトンボロは「里トンボロ」と呼ばれ、その上に集落が形成されています。里トンボロは、日本国内でも最大規模のトンボロ集落であり、函館や串本と並び、日本三大トンボロの一つとされることもあります。砂州の全長は約1,400m、最狭部で幅250m、標高2.3mです。

地域区分

里町里には、村西、村東、薗上、薗中、薗下の5つの地区があります。さらに、これらの地区は小組合と呼ばれる細分化された地域に分かれています。例えば、村西には里向、中町、新町が、村東には村町、水月、椿山などが含まれます。

地形と自然

南部には牟礼山や遠目木山などの山岳が連なり、中腹から麓にかけては階段状の畑が広がっています。平坦地には、甑島で最も広い水田が広がっています。また、須口池や鍬崎池といった淡水湖も点在しています。

歴史

古代

里遺跡からは縄文土器が出土しており、甑島列島で唯一縄文土器が出土した遺跡として知られています。中町馬場遺跡からも、縄文時代晩期から弥生時代の遺物が出土しています。古墳時代には、甑隼人の本拠地が里の古城にあったという伝説が残っています。

中世

鎌倉時代には、小川季能が里に亀城・鶴城を築き、居城としました。

近世

戦国時代には、小川氏が阿多郡田布施に改易され、以降、甑島は島津氏の直轄支配下となりました。江戸時代には、里村は甑島郡甑島郷の一部であり、村高は700石余りでした。地頭仮屋が設置され、周囲に郷士が居住していました。

近代

明治時代に入り、廃藩置県を経て、里村は上甑村の一部となりました。1891年には、上甑村から分立し、里村が設置されました。第二次世界大戦中には、アメリカ軍による空襲を受けました。2004年には、周辺町村と合併し、薩摩川内市の一部となり、大字名が「里町里」に改称されました。

文化財

国指定

ヘゴ自生北限地帯: 熱帯・亜[[熱帯]]性のシダ植物であるヘゴの自生北限地帯であり、天然記念物に指定されています。
甑島長目の浜及び潟湖群の植物群落: 長目浜によって形成された潟湖群（海鼠池、貝池、鍬崎池）に生育する植物群落で、天然記念物に指定されています。

県指定

甑島の内侍舞: 八幡神社で奉納される秋の大祭の祭事です。

市指定

石笛、里の武者踊、さっこら踊: 無形民俗文化財として指定されています。
亀城跡、小川の森、隠山のかくれ念仏: 史跡として指定されています。

施設

公共施設

薩摩川内市役所甑島振興局里市民サービスセンター、警察署駐在所、診療所、図書館、公民館、コミュニティセンターなどがあります。

教育施設

薩摩川内市立里中学校、薩摩川内市立里小学校、薩摩川内市立里幼稚園があります。

その他

里港、里郵便局、甑島風力発電所などがあります。

交通

道路

鹿児島県道348号桑之浦里港線、鹿児島県道352号瀬上里線が通っています。

バス

コミュニティバス「甑かのこゆりバス」、こしき縦貫バスが運行されています。

港湾

里港には、甑島商船の高速船とフェリーが発着しています。

まとめ

里町里は、その特異な地形と歴史、豊かな自然が調和した地域です。トンボロ上に形成された集落、多くの文化財、そして島の人々の暮らしが、訪れる人々を魅了します。甑島を訪れる際には、ぜひ立ち寄っていただきたい場所です。

参考文献

里村郷土誌編纂委員会『里村郷土誌（上巻）』里村、1985年。
藤岡謙二郎『離島の人文地理 – 鹿児島県甑島学術調査報告 -』大明堂、1964年。
『島嶼大事典』日外アソシエーツ、1991年。ISBN 978-4816911132。
角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』角川書店、1983年。ISBN 978-4040014609。
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。ISBN 978-4582910544。
中園聡 (2005). 中町馬場遺跡. [鹿児島県]]上野原縄文の森. [https://www.jomon-no-mori.jp/old/sensikodai/235.pdf.
“令和2年度薩摩川内市の教育” (PDF). 薩摩川内市教育委員会. 2020年8月9日閲覧。
* 橋口兼古, 五代秀堯, 橋口兼柄 著、島津久光 編『三[[国名勝図会]]』薩摩藩、1843年。NDLJP:992140

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