中原師元

中原師元について

中原師元（なかはら の もろもと）は、平安時代後期の貴族であり、大外記を務めた中原師遠の三男として生まれました。彼の家系は代々大外記を輩出しており、師元自身もその職を継承しました。また、学者としても才能を発揮し、多くの著作を残しました。

経歴

元永2年（1119年）に元服し、音博士に任じられた後、権少外記、少外記を経て、保安2年（1121年）には大外記に就任しました。天治2年（1125年）に従五位下に叙爵して以降、直講や助教を兼任しながら大外記の職務を遂行しました。保元2年（1157年）には掃部頭に任ぜられたため、一旦大外記を辞任しましたが、永暦元年（1160年）に再任され、永万2年（1166年）まで務め上げました。

大外記としての豊富な経験から、彼は先例に明るく、大治3年（1128年）には摂関家の家司として迎えられました。藤原忠実・頼長父子からの信頼は厚く、彼らの相談に多く与りました。師元が忠実との対話を記録した『中外抄』は、当時の公家社会の様子を伝える貴重な史料です。

保元の乱で忠実が奈良に隠棲した後も、師元は忠実の孫である基実の家司を務めました。また、大炊頭や出羽守を歴任し、承安2年（1172年）には正四位上に昇進しました。

著作

師元は、以下の著作を遺しています。

『中外抄』: 藤原忠実との対話を筆録したもので、院政期の公家社会を克明に伝える史料です。書名の「中」は中原氏、「外」は大外記を意味します。
『大外記中原師元記』: 彼自身の日記です。
『師元年中行事』: 年中行事について解説したものです。
『雑外抄』: その他の記録をまとめたものです。

官歴

『地下家伝』によると、師元の官歴は以下の通りです。

元永2年（1119年）4月4日：元服。
元永2年（1119年）4月6日：音博士（父師遠申任之）。
保安2年（1121年）1月23日：権少外記。
保安2年（1121年）12月20日：少外記。
時期不詳：大外記。
天治2年（1125年）10月21日：従五位下（石清水賀茂行幸行事賞）。
大治2年（1127年）7月27日：万直、院文殿。
大治3年（1128年）12月24日：依召参殿下補家司。
天養元年（1144年）1月24日：直講。
久安4年（1148年）1月28日：兼周防権介（直講労）。
久安4年（1148年）2月3日：遭母喪。
久安4年（1148年）7月11日：復任。
仁平元年（1151年）1月6日：従五位上（儒労）。
久寿元年（1154年）12月28日：助教。
保元元年（1156年）1月27日：兼越後介（助教労）。
保元2年（1157年）1月24日：掃部頭、止外記。
保元2年（1157年）1月28日：賜本官兼字。
保元3年（1158年）6月22日：正五位下（臨時）。
平治元年（1159年）1月29日：辞助教（以男師尚申任直講）。
永暦元年（1160年）1月21日：再任大外記、掃部頭如元。
永暦元年（1160年）7月14日：補関白家家司。
応保元年（1161年）1月23日：兼但馬権守（大外記労）。
応保元年（1161年）2月29日：正五位上（春日行幸行事賞）。
応保元年（1161年）○月1日：辞但馬権守。
応保2年（1162年）1月27日：兼越前権守。
応保2年（1162年）2月23日：依日吉行幸行事之賞以男師尚申叙従五位上。
応保2年（1162年）8月17日：穀倉院別当。
応保2年（1162年）10月28日：明経博士、余官如元。
長寛2年（1164年）11月18日：従四位下（博士労）。
永万元年（1165年）3月28日：兼大炊頭。
永万元年（1165年）7月22日：辞越前権守、辞大炊頭（以男師尚申任之）。
永万元年（1165年）7月25日：従四位上。
仁安元年（1166年）1月12日：出羽守、正四位下（臨時）。
仁安元年（1166年）4月6日：辞掃部頭。
仁安元年（1166年）10月29日：聴院上北面。
承安2年（1172年）3月29日：正四位上。
承安5年（1175年）5月20日：卒去。

系譜

父：中原師遠
母：惟宗経定の娘
妻：不詳
男子：中原師尚（?-1197）
男子：平清貞（?-1184） - 平清盛養子
男子：中原師秀
男子：覚元
男子：公元
女子：藤原尹明室
女子：春日殿 - 二条天皇後宮、僐子内親王生母
養子女
養子：中原祐安 - 実は清原祐隆の子

参考文献

宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会、1986年

もう一度検索