中国＝タジキスタン国境

中国＝タジキスタン国境

中国とタジキスタンの国境は、キルギスとの三国国境からパミール高原をほぼ南北に走り、アフガニスタンとの三国国境まで続く、全長477キロメートルの国境線です。タジキスタン側はゴルノ・バダフシャン自治州ムルガブ、中国側は新疆ウイグル自治区のクズルス・キルギス自治州アクト県とカシュガル地区タシュクルガン・タジク自治県が接しています。

歴史

この国境の起源は、19世紀半ばにロシア帝国が中央アジアに進出し、ザイサン湖周辺の支配権を確立したことに始まります。1860年の北京条約で定められたロシア帝国と清国の国境線は、現在の中国・カザフスタン・キルギス・タジキスタンとの国境線とほぼ同じです。タルバガタイ条約（1864年）とウリアスハイ条約（1870年）によって国境線の詳細が決定され、ザイサン湖はロシア側に残されました。

回民蜂起によって、清国のエルティシ盆地の駐留地は崩壊しましたが、反乱が鎮圧され、左宗棠が新疆を再征服した後、イリ条約とその後の議定書によって、イリ川流域の国境はロシア側に有利に変更されました。1915年には、イリ川流域とジュンガル・アラタウ山脈の国境をより正確に定める協定が結ばれました。

国境の最南端（現在の中国とタジキスタンの国境の南半分）は、中央アジアの覇権をめぐるイギリスとロシアの対立（グレートゲーム）が続いていたため、未画定でした。最終的には、アフガニスタンをロシアとイギリス領インドの緩衝国として独立させることで合意し、1895年にアフガニスタンのワハーン回廊が設定されました。中国はこの協定に参加していなかったため、中露の境界の最南端は未確定のままとなりました。

1991年に独立したタジキスタンは、中ソ国境の一部を継承しました。国境線は、アムダリヤ川とヤルカンド川の分水嶺に沿って、マルカンスまで続いています。

1999年の協定と2002年の補足協定をタジキスタンが2011年に批准したことで、パミール高原の200平方キロメートルと1,122平方キロメートルの土地がタジキスタンから中国に割譲され、130年に及ぶ紛争に終止符が打たれました。この条約により、中国はタジキスタンが支配する領土28,000平方キロメートルの領有権を放棄しました。この国境条約に対し、タジキスタン国内では賛否両論が大きく分かれました。

2020年7月には、中国国内のメディアでタジキスタンに更なる土地割譲を求める記事が掲載され、タジキスタンとロシアから激しい反発を受けました。

地理

国境の北端は、キルギスとの三国国境で、マルカンス川（瑪爾坎蘇河）の源流付近に位置しています。この付近には中国の最西端地点があります。

国境の南端は、アフガニスタンとの三国国境で、ポバロ・シュヴェイコフスコゴ峰（波万洛什维科夫斯基峰）という山です。ここはアフガニスタン＝タジキスタン国境の東端、アフガニスタン＝中国国境の北端であり、アフガニスタンの最東端でもあります。

国境通過点

カルマ峠（闊勒買山口、標高4,362.7メートル）にあるカラス口岸（卡拉蘇口岸）が、現在の中国＝タジキスタン国境における唯一の通過点です。歴史的には、その南にあるネザタシュ峠やベイク峠も使用されていました。

地図

20世紀半ばから後半にかけての中国＝ソ連（タジク・ソビエト社会主義共和国）の国境地帯の地図や、2011年以前の中国＝タジキスタン国境を含む歴史地図が存在します。

関連項目

カラチグ峡谷
カラコルム・ハイウェイ
ワフジール峠
キリク峠
ミンタカ峠
アフガニスタン＝中国国境
* 中国＝パキスタン国境

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