中嶋の戦い

中嶋の戦い（天王寺の戦い）：戦国時代の摂津を舞台にした激戦

中嶋の戦い、別名「天王寺の戦い」は、享禄4年（1531年）に摂津国中嶋・天王寺周辺で起こりました。この戦いは、細川高国・浦上村宗連合軍と細川晴元・三好元長軍が激突し、その後の大物崩れへと繋がる重要な戦いです。

開戦までの経緯

桂川原の戦いで敗北した細川高国は、再起を図るべく各地を奔走し、備前三石城主・浦上村宗の協力を得ました。浦上村宗は播磨統一を目論んでおり、高国の力を利用しようと考えたのです。享禄3年（1530年）には、柳本賢治が暗殺される事件が発生。高国と内藤国貞は、実行犯である中村助三郎（浄春）に感状を贈っています。

その後、高国・村宗連合軍は別所就治を擁立し、庄山城、三木城、有田城を攻略して播磨を統一。勢いに乗った連合軍は、細川晴元が擁する堺公方を攻め落とすべく摂津へ進軍し、神呪寺城に布陣しました。晴元は伊丹城、富松城へ援軍を送るも、富松城は落城。薬師寺国盛は大物城へ逃走しましたが、最終的に降伏。高国軍の勢いに押された結果でした。

高国は内藤彦七に命じて勝軍地蔵山城を築かせ、これに呼応して足利義晴も坂本へ進出。同年2月末には伊丹城が開城し、3月6日には池田城が落城しました。この敗戦に驚いた木沢長政は逃走し、高国は京都を奪還することに成功しました。

連合軍は、神呪寺城着陣から約6ヶ月で富松城、伊丹城、大物城、池田城の4つの城を攻略しました。

戦いの状況

京都を奪還し、池田城を落城させた高国・村宗連合軍は、最終目標である堺公方と細川晴元を討つべく進軍。本陣を南摂津周辺に、先鋒を住吉の勝間に配置しました。劣勢だった晴元は、三好元長を投入します。

かつて柳本賢治との不仲から阿波へ帰国していた元長でしたが、賢治の死と晴元の苦戦を知り、要請に応じて堺へ到着。勝間に布陣していた先鋒軍を打ち破り、細川軍を天王寺まで撤退させました。その後、細川軍は中嶋の浦江、浦上軍は野田城・福島城に陣を構えます。

元長の要請を受けた細川持隆が援軍を率いて堺へ到着。元長は援軍を晴元と堺公方の防備に充て、自身は天王寺に対陣しました。兵力は連合軍が2万、三好軍が約7千とされています。

5月13日、元長が動き出します。沢ノ口、遠里小野周辺に進出し、別動隊が築島へ、三好一秀が安孫子、刈田、堀に砦を築城。両軍は阿倍野の森を挟んで連日矢を射合うも、決着はつかず膠着状態となりました。

戦後の影響

元長の参戦により晴元軍は結束を固めましたが、両軍の戦況は膠着。しかし、6月2日に赤松政祐が高国の後詰として神呪寺城へ着陣したことで状況は一変します。政祐は高国を裏切り背後から攻撃し、大物崩れを引き起こし、高国・村宗連合軍は瓦解しました。

中嶋の戦いは、戦国時代の勢力図を大きく塗り替えるきっかけとなった戦いと言えるでしょう。

参考文献

戦国合戦史研究会 編『戦国合戦大事典 四 大阪・奈良・和歌山・三重』新人物往来社、1989年4月。
今谷明『戦国三好一族 天下に号令した戦国大名』洋泉社、2007年、93-102頁。
福島克彦『畿内・近国の戦国合戦』吉川弘文館〈戦争の日本史11〉、2009年、74-76頁。
池田市立歴史民俗資料館 編『町を放火候なり』2000年10月。
亀岡市史編さん委員会 編『亀岡市史』 本文編第2、2004年3月。
新修大阪市史編纂委員会 編『新修 大阪市史』 第2、1988年3月。

関連項目

日本の合戦一覧
細川政権 (戦国時代)
顕本寺 (堺市)
畿内・近国の戦国時代

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