顕本寺 (堺市)

顕本寺（けんぽんじ）

顕本寺は、大阪府堺市堺区にある法華宗本門流の寺院で、山号を常住山といいます。大本山本興寺の末寺であり、日隆を開基、日浄を開山としています。

歴史

顕本寺の起源は、宝徳3年（1451年）に堺の豪商、木屋と餝屋の自宅を法華堂としたことに始まります。当初は、開口神社に近い甲斐町山ノロに位置していました。京都本能寺や尼崎本興寺を創建した日隆の流れを汲み、南西国末寺頭という高い寺格を有していました。

戦国時代に入ると、顕本寺は歴史の大きな変動に巻き込まれます。室町幕府第12代将軍足利義晴を擁する管領細川高国に対抗するため、大永7年（1527年）に細川晴元と三好元長が阿波から足利義維を迎え、堺幕府（堺公方府）を樹立しました。しかし、享禄4年（1531年）に高国を討ち取った後、晴元は翌年に元長と対立し、一向一揆を差し向けます。元長は顕本寺に逃れますが、最終的に自害に追い込まれ、後ろ盾を失った足利義維は阿波へ逃れ、堺幕府は滅亡しました。

元長の殉難地となった顕本寺は、その後も三好氏との繋がりが深く、元長の息子である三好長慶や実休らの軍勢が寄宿する許可を得たり、元長の二十五回忌法要が執り行われたりしました。

天文5年（1536年）の天文法華の乱で、本門流の大本山本能寺が焼き討ちに遭うと、本能寺は顕本寺に逃れ、天文16年（1547年）から翌年に帰洛を許されるまで、顕本寺が本山の役割を果たしました。

天正14年（1586年）には、豊臣秀吉より寺領27石の御朱印地を与えられ、この寺領は江戸幕府にも引き継がれました。

慶長20年（1615年）の大坂夏の陣で寺は焼失しましたが、再建された際に現在の場所に移転しました。

安土桃山時代には、顕本寺の塔頭の一つである高三坊の高三隆達が、当時の流行歌である小歌「隆達節」を創出したことでも知られています。

昭和20年（1945年）の堺大空襲で伽藍などは焼失しましたが、平成15年（2003年）に本堂が再建されました。

アクセス

• - 阪堺電気軌道阪堺線 宿院停留場から徒歩約3分
• - 阪神高速堺線 堺出入口
• - 境内に参拝用駐車場あり

脚注

[参考文献]

• - 『堺市史』、清文堂出版、1930
• - 『法華宗宗門史』、法華宗宗務院、1988
• - 天野忠幸『戦国期三好政権の研究』、清文堂、2010
• - 天野忠幸『三好長慶〜諸人之を仰ぐこと北斗泰山〜』、ミネルヴァ書房〈ミネルヴァ日本評伝選〉、2014
• - 今谷明『室町幕府解体過程の研究』、岩波書店、1985
• - 今谷明『戦国三好一族〜天下に号令した戦国大名〜』、洋泉社〈洋泉社MC新書〉、2007
• - 小野恭靖『隆達節歌謡の基礎的研究』、笠間書院〈笠間叢書〉、2007
• - 小野恭靖『戦国時代の流行歌〜高三隆達の世界〜』、中央公論新社〈中公新書〉、2012
• - 小西徹龍『日隆聖人略伝』、東方出版、1985
• - 藤井学『本能寺史料 古記録篇』、法華宗大本山本能寺、2002

関連項目

• - 法華宗本門流
• - 本興寺
• - 本能寺
• - 堺公方
• - 三好政権
• - 三好元長
• - 中嶋の戦い
• - 飯盛城の戦い
• - 享禄・天文の乱
• - 隆達
• - 隆達節

外部リンク

• - 堺・南大阪の地域情報 つーる・ど・堺
• - 法華宗 顕本寺 堺市 公式HP

もう一度検索