中華電影公司

中華電影股份有限公司

中華電影股份有限公司（ちゅうかでんえいふんこゆうげんこうし）は、第二次世界大戦中の1939年、中華民国（現・中華人民共和国）の上海に設立された国策映画会社です。一般には中華電影公司（ちゅうかでんえいこうし）と呼ばれ、中華電影（ちゅうかでんえい）、華影（かえい）と略称されることもありました。

設立と変遷

1939年6月27日、汪兆銘政権が50％、満洲映画協会が25％、残りの25％を日本の民間映画会社による投資組合が出資する形で設立されました。董事長（代表）には汪兆銘政権の要人である褚民誼が就任し、副董事長には東和商事（現在の東宝東和）から川喜多長政が送り込まれました。

川喜多長政は経営の実権を握り、当初は上海の既存の映画会社に勝る作品製作は困難と考え、配給事業に注力する方針でした。しかし、その後、映画製作にも乗り出し、東宝映画東京撮影所との提携による伏水修監督の『支那の夜』（1940年）や、大村英之助の芸術映画社との提携による石本統吉・亀田利喜夫・八名正監督の『珠江』（1942年）、中国聯合影業公司との合作による卜万蒼監督の『木蘭従軍』（1942年）などを製作しました。

1943年5月には、中国聯合影業公司などと合併し、中華聯合電影公司（ちゅうかれんごうでんえいこうし）となりました。しかし、1945年の終戦とともに、その歴史に幕を閉じました。現在、同社の撮影所は、上海戯劇学院が「新実験空間」として使用しています。

主な作品

日本公開作品

以下に、日本で公開された主な作品を挙げます。

『支那の夜 前篇』(1940年): 監督 伏水修、製作 東宝映画東京撮影所/中華電影
『支那の夜 後篇』(1940年): 監督 伏水修、製作 東宝映画東京撮影所/中華電影
『上海の月』(1941年): 監督 成瀬巳喜男、製作 東宝映画東京撮影所/中華電影
『珠江』(1942年): 監督 石本統吉・亀田利喜夫・八名正、製作 芸術映画社/中華電影、配給 日本映画社
『戦ふ兵団』(1942年): 監修 支那派遣軍報道部、製作 中華電影/日本映画社、配給 日本映画社
『潰滅する重慶陣営』(1942年): 監修 支那派遣軍報道部、製作 日本映画社/中華電影、配給 映画配給社
『木蘭従軍』(1942年): 監督 卜万蒼、製作 中国聯合影業公司華成製片厰/東和商事中華電影支社
『大陸新戦場 浙贛作戦の記録』(1943年): 監修 陸軍省報道部、製作 日本映画社/中華電影
『万世流芳』(1944年): 監督 張善琨・朱石麟・馬徐維邦・楊小仲・卜万蒼、製作 満洲映画協会/中華電影、配給 映画配給社
『在支米空軍撃滅の記録』(1944年): 監督 桑野茂・斉藤久、製作 日本映画社/中華電影
『狼火は上海に揚る 春江遺恨』(1944年): 監督 稲垣浩、製作 大映/中華電影、配給 映画配給社

これらの作品は、当時の時代背景を色濃く反映しており、歴史的な資料としても貴重なものです。

関係者

主な経営者・社員

褚民誼 - 董事長（汪兆銘政権）
川喜多長政 - 副董事長（東和商事出身）
松崎啓次 - 製作部長（東宝映画出身）
劉吶鴎 - 製作部次長（台湾出身）、1940年9月3日暗殺
中川信夫 - 監督
秘田余四郎 - 字幕翻訳
筈見恒夫
清水晶
野口久光 - （東和商事出身）
不破祐俊 - 内務省情報局元課長。映画法策定者

これらの関係者は、当時の日本映画界や中国映画界に大きな影響を与えた人物たちです。

参考文献

筈見恒夫『映画五十年史』、鱒書房、1942年

関連項目

川喜多長政
満洲映画協会
華北電影公司
芸術映画社

外部リンク

中華電影 - 日本映画情報システム （文化庁）
中華電影 - 映連データベース （日本映画製作者連盟）
1940年公開作品一覧 518作品
1941年公開作品一覧 275作品
1942年公開作品一覧 125作品
1944年公開作品一覧 66作品



これらの外部リンクは、より詳細な情報を知りたい場合に役立ちます。

中華電影股份有限公司は、戦時下の複雑な状況の中で設立された映画会社であり、その歴史は、当時の映画界の状況や、国際関係を理解する上で重要な手がかりとなります。

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