中院通顕

中院通顕（なかのいん みちあき）

中院通顕は、鎌倉時代後期の公卿・歌人として知られています。内大臣を務めた中院通重の子として生まれ、その才能と家柄により、数々の要職を歴任しました。彼の生涯は、鎌倉時代から南北朝時代への移行期における公家社会の動向を反映しており、文化史的にも重要な意味を持っています。

経歴

正応5年（1292年）に生まれた通顕は、わずか1歳で従五位下に叙爵されました。その後、正応6年（1293年）に従五位上、永仁2年（1294年）に正五位下、永仁4年（1296年）に従四位下、永仁5年（1297年）に従四位上へと順調に昇叙を重ねました。この間、名前を通平から通具（または通真）へ、そして最終的に通顕へと改名しています。

永仁6年（1298年）には春宮権亮に任ぜられ、当時の皇太子である胤仁親王（のちの後伏見天皇）に仕えました。親王が即位すると昇殿を許され、正四位下に陞叙。永仁7年（1299年）には左近衛中将に任ぜられるなど、着実にキャリアを積み重ねていきました。後二条天皇の即位後も引き続き昇殿を許され、徳治2年（1307年）には蔵人頭を務めるなど、天皇に近侍する一方で、春宮昇殿を許され富仁親王（のちの花園天皇）とも関係を深めました。また、備中権介、丹波介を経て従三位・参議となり、公卿の仲間入りを果たしました。

その後、左衛門督、検非違使別当を経て権中納言となり、延慶4年（1311年）には従二位に叙されました。正和5年（1316年）には中納言に任ぜられ、淳和・奨学院別当にも補されています。文保2年（1319年）に権大納言に任ぜられますが、翌年には辞任しました。

元徳3年（1331年）に再び権大納言に任ぜられ、大納言に進み、春宮大夫を兼任。奨学院別当に復し、元弘2年（1332年）には内大臣に任ぜられます。しかし、翌年には楊梅俊兼と共に出家し、政界から引退しました。

出家後は北朝側に付き、康永2年/興国4年12月（1344年1月）に53歳で薨去しました。歌人としても才能を発揮し、『続千載和歌集』以下の勅撰和歌集に和歌が収録されています。

官歴

正応5年（1292年）2月27日：従五位下
正応6年（1293年）正月5日：従五位上（臨時）
永仁2年（1294年）正月6日：正五位下（中宮當年御給）、名を通平から通具（または通真）に改む
永仁4年（1296年）正月5日：従四位下、名を通顕に改む
永仁5年（1297年）11月14日：従四位上（中宮朔旦御給）
永仁6年（1298年）5月22日：春宮権亮、7月22日：昇殿、8月10日：止権亮、10月10日：正四位下（御即位永福門院御給）
永仁7年（1299年）4月12日：左近衛中将
正安3年（1301年）正月22日：昇殿、2月14日：備中権介、8月24日：春宮昇殿
嘉元4年（1306年）3月30日：丹波介
徳治2年（1307年）4月3日：蔵人頭、9月17日：従三位（左中将如元）、11月1日：参議
徳治3年/延慶元年（1308年）8月17日：左衛門督、使別当、12月10日（1309年1月21日）：権中納言（左衛門督別当如元）
延慶2年（1309年）2月23日：：辞別当、9月1日：止督、9月7日：帯剣、11月23日：正三位
延慶4年（1311年）正月5日：従二位
応長2年（1312年）3月3日：正二位
正和5年（1316年）9月12日：中納言、10月7日：淳和・奨学院別当
文保2年（1318年）8月24日：権大納言
元応元年（1319年）10月27日：辞任
元応2年（1320年）9月：止別当
元亨2年（1322年）正月12日：喪（母）
元徳3年/元弘元年（1331年）2月21日：還任、10月28日：大納言、11月8日：春宮大夫
元弘2年（1332年）7月7日：奨学院別当、10月14日：内大臣
元弘3年/正慶2年（1333年）5月8日：出家

系譜

父：中院通重
母：源通能の娘（?-1322）
妻：白拍子明一
男子：中院通冬（1315-1363）
生母不明の子女
男子：中院通数（?-?）
* 女子：

中院通顕は、その生涯を通じて、公家社会において重要な役割を果たしました。彼の足跡は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての政治・文化史を理解する上で、貴重な手がかりとなります。

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