京成バス奥戸営業所

東京都葛飾区奥戸に所在する京成バス奥戸営業所は、都内における京成バスの営業所として、京成電鉄直営時代から数えると最も古い部類に入ります。社内では営業所記号「1」が使用されており、主に東京を発着する高速バス路線を中心に担っています。その管轄下には京成バス東雲車庫があり、こちらでは一部の高速バスに加え、東京BRTや豊洲・有明エリアでの貸切・特定輸送を受け持っています。

所属車両に付けられるナンバープレートは、奥戸営業所の車両が葛飾ナンバー、東雲車庫の車両が江東ナンバーです。これらの地域名表示が始まる前は、どちらも足立ナンバーで登録されていました。

沿革と現在の役割

京成電鉄直営時代の奥戸営業所は、現在の前身にあたる寺島営業所を含め、京成グループの中でも長い歴史を持つ拠点です。かつては一般路線バスに加え、観光や支援業務の一部も手掛けていました。

2000年 7月12日に京成タウンバスが設立されると、その翌年2月16日には、それまで京成電鉄奥戸営業所が運行していた葛飾区内の一般路線バス6路線が京成タウンバスに移管され、営業を開始しました。以降、一般路線は段階的に京成タウンバスへと引き継がれ、現在、京成バス奥戸営業所では日中の一般路線バスの運行は行っておらず、深夜急行バスのみを担当しています。

主な担当路線

現在、奥戸営業所が運行を担っているのは、深夜急行バス、高速路線バス、空港連絡バス、そして一部のコミュニティバス、東京BRTです。

深夜急行バス

東京駅八重洲口を起点とし、葛西臨海公園駅、葛西駅、一之江駅を経由して奥戸車庫へ向かう深夜急行バスを運行しています。2011年4月に新設されたこの路線は、葛西臨海公園駅では乗降可能ですが、葛西駅以降は降車専用となります。2012年4月からは1便のみの運行となり、小岩駅は経由しなくなりました。

高速路線

東京駅を中心とした長距離路線の運行が主力です。

鹿島方面：
「かしま号」：東京駅と鹿島神宮駅などを結びます。関東鉄道、ジェイアールバス関東、ジェイアールバステックとの共同運行で、PASMO/Suicaが利用できます。
「カシマサッカー号」：鹿島アントラーズの試合開催日に運行される、東京駅とカシマサッカースタジアムを結ぶ直行便です。座席指定制で、共同運行会社に加え京成トランジットバスも加わります。多数運行される場合は、他営業所や子会社からの応援車両が入ることもあります。
旭・銚子方面：
「犬吠号」：バスターミナル東京八重洲から旭、銚子駅を経て犬吠埼方面へ向かいます。
「横芝光・旭ルート」：バスターミナル東京八重洲から横芝光IC、旭を経て銚子駅へ向かいます。
いずれも千葉交通と共同運行し、新習志野高速営業所と共管しています。PASMO/Suicaが利用可能です。
東京湾アクアライン・南房総方面：
東京湾アクアラインを経由し、南房総方面へ向かう路線群です。日東交通と共同運行し、長沼営業所や新習志野高速営業所と共管する路線が多くあります。
安房鴨川方面「アクシー号」
君津駅・青堀駅方面（一部は東雲車庫発着）
木更津方面（木更津駅西口、イオンモール木更津、君津製鐵所、三井アウトレットパーク木更津行きなど。一部は東雲車庫発着便あり。途中無停車の三井アウトレットパーク行きも運行。）
亀有・新小岩・一之江・葛西 - 三井アウトレットパーク木更津（小湊鉄道と共同運行。2021年運行開始。）
これらの南房総方面路線の多くでPASMO/Suicaが利用可能です。
ディズニーリゾート発着路線：
東京ディズニーリゾートと都内各地を結ぶ路線も数多く担当しています。
新宿駅（バスタ新宿）方面（ジェイアールバス関東と共同運行）
池袋駅西口方面（国際興業バス、京成トランジットバスと共同運行。一部国際興業バス便は武蔵浦和駅発着。）
横浜駅東口方面（京浜急行バスと共同運行）
東京スカイツリータウン方面「スカイツリーシャトル」（東武バスセントラルと共同運行）
吉祥寺駅方面（西武バス、関東バス、京成トランジットバスと共同運行）
これらのディズニーリゾート発着路線の多くでPASMO/Suicaが利用できます。
常磐道系統東京駅発着路線（廃止済）：
柏の葉キャンパス駅・流山おおたかの森駅と東京駅を結ぶ路線を、2021年10月から約1年間東武バスセントラルと共同運行しましたが、利用低迷のため2022年9月末で廃止となりました。

空港路線

羽田空港および成田空港への連絡バスも担当しています。

羽田空港発着路線：
東京ディズニーリゾート方面（東京空港交通、京浜急行バス、東京ベイシティ交通と共同運行）
葛西駅・一之江駅・小岩駅・亀有駅方面（東京空港交通と共同運行。深夜バスもあり。）京成バス運行便の羽田空港行きのみPASMO/Suicaが利用可能です（深夜バスは運賃倍額）。
成田空港発着路線：
葛西駅・一之江駅・小岩駅方面（千葉営業所と共管。奥戸担当便は限られます。）
東京駅八重洲口・鍛冶橋駐車場方面「エアポートバス東京・成田」（他社と共同運行。旧「東京シャトル」などを統合。）

コミュニティバス

東京都墨田区および台東区よりコミュニティバスの運行を受託しています。

墨田区「すみだ百景すみまるくん・すみりんちゃん」：全3ルートを担当。
台東区「めぐりん」：「ぐるーりめぐりん」ルートを担当。他は日立自動車交通が運行。

東京BRT

晴海・豊洲・新橋・虎ノ門地区を運行する東京BRTにおいて、奥戸営業所所属の運転士が連節バスを含む一部便の運行を担当しています。

過去の担当路線

京成タウンバス設立や営業所間の再編に伴い、奥戸営業所から他営業所へ移管または廃止された路線も多数存在します。

京成バス他営業所への移管

船堀線（船31）：船堀駅～小岩駅間の都営バスとの共同運行路線でしたが、短期間で江戸川営業所へ移管後、廃止されました。
奥戸線（新小53）：新小岩駅～亀有駅間を結ぶ路線で、京成タウンバス開業時に京成電鉄での運行継続が決まり、金町営業所へ移管されました。

京成タウンバスへの移管

小松川線（橋27、錦27、小74）：小岩駅などを起点に、錦糸町駅や浅草橋方面、あるいは小松川警察署方面へ向かう路線でした。都営バスとの共同運行を経て、最終的に京成タウンバスへ移管されました。
本田線（有65→有57）：亀有駅などから本田警察署方面へ向かう路線で、ルート変更を経て京成タウンバスに移管されました。
四ツ木線（新小52）：新小岩駅～亀有駅間を結ぶ路線で、後に上野線と統合され、現在の京成タウンバス新小52乙系統の原型となりました。
綾瀬線（新小51）：新小岩駅～綾瀬駅・小菅方面を結ぶ路線でした。

廃止・撤退路線

東京線（107）：東京駅北口から市川駅までを結ぶ都営バスとの共同運行路線として始まりましたが、国鉄総武線の輸送力増強に伴い都営が撤退。京成単独で一部区間を運行継続しましたが、1979年頃に廃止されました。
上野線（上34）：市川駅・小岩方面から上野駅までを結ぶ都営バスとの共同運行路線でした。都営が撤退後京成単独運行となりましたが、1996年に四ツ木線と統合され、奥戸営業所としての担当は終了しました。
* 上一色周辺地区コミュニティ交通：2022年に江戸川区で実施されたコミュニティ交通の実証実験路線です。小岩駅を中心に上一色周辺を循環する形で運行され、利用状況を見ながら期間延長されましたが、2023年6月末で運行を終了しました。

車両

奥戸営業所に配置されている車両は、いすゞ自動車製が中心ですが、三菱ふそう製の高速バス車両も導入されています。過去には日産ディーゼル製の高速車も在籍していました。

高速バス車両は全車トイレ付きで、空港連絡バスも担当するため直結クーラー装備車両が多いのが特徴です。2018年には京成バスとして初めて、高速バスとしては初の二階建てバスとして、スカニア・アストロメガTDX24が配置され、かつて運行されていた「有楽町シャトル」などで使用されましたが、現在は貸切用として活用されています。

コミュニティバス用車両としては、「すみだ百景」用の日野ポンチョ、「めぐりん」用としていすゞエルガミオが配置されています。

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