人員輸送車

人員輸送車とは

人員輸送車は、主に警察、消防、自衛隊、出入国在留管理庁といった組織が、人員を輸送するために使用する車両です。これらの車両は、民間で使用される自家用バスをベースとしており、マイクロバスから大型バスまで様々なサイズが存在します。

各組織における人員輸送車の特徴

自衛隊

自衛隊では、隊員の輸送を主な目的として、各駐屯地や基地に人員輸送車が配備されています。これらの車両は、隊員の輸送だけでなく、採用試験の受験者や基地イベントの来場者の送迎にも利用されます。

陸上自衛隊：人員輸送車1号、2号を制式化。1号は大型バス、2号はマイクロバスがベースです。近年は、コスト削減のため、塗装が簡略化されたり、メーカー標準色のままの車両も見られます。一部部隊にはハイデッカーバスも配備されています。
海上[[自衛隊]]：マイクロバス、中型、大型の３種類の人員輸送車を保有。大型バスにはハイデッカーが導入され、青や白を基調とした塗装が特徴です。コスト削減のため、単色の車両も存在します。
航空自衛隊：マイクロバス型の小型人員輸送車、レーダーサイト勤務隊員送迎用のサイト用人員輸送車、大型観光バス型の大型人員輸送車3号があります。サイト用人員輸送車は、悪路走破性が必要なため四輪駆動仕様が採用され、航空自衛隊独自のマークが入ります。大型人員輸送車3号は、災害時の国民輸送にも使用されます。

警察

警察では、主に警備活動における警察官の輸送に人員輸送車が使用されます。窓に金網が装着されていることが多く、一般的には「護送車」と誤解されることもあります。しかし、本来の護送車とは異なり、車内からの逃走を防止するための鉄格子は設置されていません。

小型輸送車：トヨタ・ハイエースや日産・キャラバンなどのワンボックス車がベースです。2013年以降は金網非装備の覆面仕様、2017年以降は標準ルーフの車両も登場しています。
中型輸送車：トヨタ・コースター、日産・シビリアン、三菱ふそう・ローザなどのマイクロバスがベースです。覆面仕様として運用される車両も存在します。ルーフエアコンを装備した車両もあります。
大型輸送車：いすゞ・エルガミオ、日野・レインボーなどの中型バスがベースです。警視庁機動隊の車両には、機動隊章と中隊番号が描かれています。

消防

消防では、マイクロバスをベースとした人員輸送車が使用されます。他の消防車両と同様に赤色が主体ですが、回転灯を装備しないなど、外観は一般的なマイクロバスと変わらない場合もあります。災害対応多目的車や災害支援車といった名称で呼ばれることもあります。

出入国在留管理庁

出入国在留管理庁では、入国警備官の輸送や被収容者の移送に人員輸送車が使用されます。大型バスをベースとし、屋根に赤色灯、車体上部をクリーム色、下部を青色に塗り分けた塗装が特徴です。

車両の選定と仕様

人員輸送車の多くは、競争入札によって民間バスメーカーの車両が採用されます。そのため、日産[[自動車]]、トヨタ[[自動車]]、三菱ふそうトラック・バス、いすゞ[[自動車]]など、様々なメーカーの車両が見られます。車体のサイズは、マイクロバスから大型バスまで多岐にわたり、各組織のニーズに合わせて選定されます。

基本的に市販の車両がベースとなりますが、赤色灯や金網といった特殊な部品が装着されることもあります。また、コスト削減のため、メーカー標準色のままの車両や、快適装備が最小限に抑えられた車両も存在します。

人員輸送車は、様々な組織において、人員輸送の重要な役割を担っています。その種類は多岐にわたり、各組織のニーズに合わせて仕様や装備が異なります。これらの車両は、安全性と効率性を両立させながら、日々の業務を支えているのです。

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