今宮神社 (京都市)

今宮神社

今宮神社は、京都市北区紫野今宮町に位置する神社で、かつては府社でした。「玉の輿神社」という別名でも親しまれ、京都市北区・上京区において広大な氏子地域を有し、盛大な祭礼を執り行うことで知られています。

祭神

大己貴命（おおなむちのみこと）
事代主命（ことしろぬしのみこと）
奇稲田姫命（くしなだひめのみこと）

歴史

今宮神社の地には、平安遷都以前から疫神であるスサノオを祀る社（現在の摂社・疫神社）が存在したとされています。平安京遷都後、都では疫病や災厄が頻発し、神泉苑や上御霊神社、下御霊神社、八坂神社などで疫病を鎮めるための御霊会が催されました。正暦5年（994年）に都で大規模な疫病が発生した際、朝廷は2基の神輿を造り、当地で祀られていた疫神を乗せて船岡山に安置し、音楽を奉納した後、疫災を幣帛に移して難波江に流しました。この民衆主導の「紫野御霊会」が、今宮祭の起源とされ、京都の他の都市祭礼と同様に、災厄を避けるための御霊会として始まったのです。

長保3年（1001年）にも疫病が流行したため、朝廷は疫神を船岡山から移し、疫神を祀る社に神殿、玉垣、神輿を造らせ、今宮社と名付けました。この時、大己貴命、事代主命、奇稲田姫命の三柱の神が祀られました。その後も疫病が流行するたびに紫野御霊会が営まれ、やがて今宮社の祭礼（今宮祭）として定着し、毎年5月に行われるようになりました。

創建以来、今宮社は朝廷、民衆、武家から厚い崇敬を受け、弘安7年（1284年）には正一位の神階が授けられました。室町時代の応仁の乱で社殿は焼失しましたが、明応5年（1496年）に室町幕府将軍・足利義澄によって再建されました。また、将軍・足利義晴によって大永5年（1525年）に神輿が新調され、天文13年（1544年）には社殿が修復されています。

文禄2年（1593年）には、豊臣秀吉が今宮社の御旅所を再興し、神輿1基を寄進しました。

西陣の八百屋出身の「お玉」が、江戸幕府3代将軍・徳川家光の側室となり、5代将軍・綱吉の生母・桂昌院として従一位となったことが、「玉の輿」の語源になったという説があります。桂昌院は京都の寺社の復興に尽力しましたが、今宮社への崇敬と西陣への愛郷の念が非常に強かったとされ、元禄7年（1694年）には社殿の造営を行ったほか、御牛車や鉾を寄進し、祭事の整備や氏子区域の拡充、やすらい祭の復興など、様々な施策を行いました。江戸時代には、社領として100石が認められています。

寛政7年（1795年）には、機業者を中心とした西陣界隈の豊かな経済力を背景に、御旅所に能舞台が落成し、秋季に能の公演が行われていました。しかし、織物産業の衰退により、1970年代を最後に途絶えることとなりました。

明治初年に郷社、1881年（明治14年）6月には府社に列せられました。1896年（明治29年）に社殿を焼失しましたが、1902年（明治35年）に再建を果たしました。

境内

境内には、本殿、幣殿、拝殿、神楽殿など、数多くの文化財が点在しています。

本殿: 明治35年（1902年）に再建されたもので、国の登録有形文化財に指定されています。
阿呆賢さん: 「神占石」とも呼ばれる霊石です。掌で撫でた後に持ち上げ、軽く感じられれば願いが叶うと言われています。

祭礼

やすらい祭：毎年4月第2日曜日に開催。「やすらい花」として国の重要無形民俗文化財に指定。京都三大奇祭の一つ。
今宮祭：毎年5月に行われる例祭。

名物

あぶり餅：今宮神社の門前名物。香ばしい匂いが食欲をそそります。

アクセス

京都市営バス46号系統「今宮神社前」下車すぐ。
1・12・M1・204・205・206・北8号系統「船岡山」下車徒歩7分。

今宮神社は、その長い歴史と豊かな文化、そして美しい自然に囲まれた、訪れる人々を魅了する場所です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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