仙崎

仙崎（せんざき）

仙崎は、山口県長門市にある地域で、旧大津郡仙崎町にあたります。日本海に面しており、青海島と本土の両方にまたがった地理的特徴を持ちます。本土側は、青海島との間の砂嘴によって形成された平坦な地形が広がっています。

特徴

仙崎は、日本海側でも有数の漁港として知られ、新鮮な魚介類が水揚げされます。特に近年では、「仙崎イカ」というブランド名でケンサキイカの流通価値が高まっています。また、蒲鉾の産地としても有名で、近海で獲れるエソなどの白身魚を原料とした蒲鉾は、仙崎を代表する名産品となっています。

戦後には、海外からの引き揚げ港としても重要な役割を果たしました。多くの人々が仙崎港から日本へと帰国し、復興への第一歩を踏み出しました。

歴史

1889年（明治22年）4月1日：町村制施行により、通浦・瀬戸崎浦の区域をもって仙崎通村が発足。
1899年（明治32年）4月1日：仙崎通村のうち大字通浦が分立して通村となる。残部は改称して仙崎村となる。
1914年（大正3年）4月15日：仙崎村が町制施行して仙崎町となる。
1945年（昭和20年）9月2日：太平洋戦争終戦に伴い、仙崎港が引き揚げ港として使用される。
1954年（昭和29年）3月31日：仙崎町が通村・深川町・俵山村と合併し、長門市が発足。仙崎町は廃止され、長門市大字仙崎となる。

引き揚げ港としての仙崎

終戦後、仙崎港は海外からの引き揚げ者を受け入れる重要な港となりました。興安丸が釜山港との間を往復し、多くの人々が仙崎に上陸しました。仙崎港での引き揚げ者数は413,961人に達し、博多港、佐世保港、舞鶴港、浦賀港に次いで5番目に多い人数でした。葫蘆島、上海、釜山からの上陸者が多かったとされています。

また、仙崎港は朝鮮や台湾などへ帰国する在日外国人の送り出し港としての役割も担い、339,548人が仙崎からそれぞれの故郷へと向かいました。

1995年（平成7年）には、引き揚げ50周年を記念する行事が開催され、記念碑の建立や記念列車の運行が行われました。

仙崎漁港

仙崎漁港は、山口県内では下関漁港に次ぐ水揚げ量を誇る大規模な漁港です。イカ、アジなどの近海魚介類や、ウニ、アワビなどが水揚げされ、関西・九州方面に出荷されています。特にケンサキイカは「仙崎イカ」としてブランド化され、高い評価を受けています。

毎年7月23日には、仙崎漁港でながと仙崎花火大会が開催され、多くの人々で賑わいます。1994年（平成6年）には、第14回全国豊かな海づくり大会も開催されました。

金子みすゞ

大正時代に活躍した童謡詩人、金子みすゞ（1903-1930）は仙崎で生まれ、深川高等女学校を卒業するまでを仙崎で過ごしました。彼女の詩には、仙崎の風景や人々を題材にしたものが多く見られます。代表作の一つである「大漁」は、仙崎漁港に大量に水揚げされた鰯にインスピレーションを得て作られたと言われています。王子山、弁天島、祇園社（八坂神社）など、仙崎の風景を詠んだ詩も数多く残されています。みすゞの墓所も仙崎にあります。

交通

仙崎には1930年に開業した仙崎駅があり、山陰本線の支線（通称・仙崎線）で長門市駅と繋がっています。かつては引き揚げ者を運ぶ列車が運行されていましたが、現在は仙崎駅〜長門市駅間で列車が往復運転しています。また、仙崎から美祢線への直通列車も運行されています。

本土と青海島を結ぶ県道青海島線には、青海大橋（全長260m）が架かっています。1965年（昭和40年）に完成した当初は歩道のない2車線橋でしたが、1987年（昭和62年）にクレーン船が橋桁に衝突する事故が発生し、1991年（平成3年）に歩道を新設する形で復旧されました。

その他

青海島の大日比地区には、ナツミカンの原樹があります。これは江戸時代に西本於長が漂着した柑橘の種を植えたもので、各地に広まったナツミカンのルーツとなっています。現存する原樹は史跡および天然記念物に指定されています。

関連項目

和っこの金メダル：NHK朝の連続テレビ小説。ヒロインが仙崎出身という設定。
心の色：作詞の大津あきらが、仙崎近くの日本海に沈む夕日に感動して作ったと言われています。仙崎の海岸沿いには歌碑が建立されています。
道の駅センザキッチン：仙崎の「リビング・ダイニング・キッチン」をコンセプトにした道の駅。
* さるかめ合戦：民話

もう一度検索