伊賀盛光

伊賀盛光（生没年不詳）は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての武将で、好島西荘預所職、飯野八幡宮別当、奥州東海道検断職などを務めました。伊賀式部三郎盛光とも呼ばれています。

生涯

嘉暦2年（1327年）に伊賀光貞から所領を引き継ぎ領主となりました。翌嘉暦3年（1328年）には、地頭の岩城隆衡を年貢未納で訴えています。

元弘3年（1333年）11月、北畠顕家が陸奥国の国府多賀城に着任すると、盛光はこれに従います。名越時如、安達高景が津軽で挙兵（津軽合戦）すると、盛光は北条軍追討の大将として持寄城を攻め、その功績により岩城郡の矢河子村を恩賞として賜りました。また、京での篝火役の免除も許されています。

陸奥将軍府が開かれると、伊賀貞長が二番引付として出仕しました。

建武2年（1335年）に中先代の乱が起こると、奥羽では小平氏が呼応し安達郡木幡山に籠城します。盛光は顕家より東海道の兵を率いて出陣するよう命じられました。

足利尊氏が建武政権から離脱すると、盛光もこれに追随し、足利方に与しました。建武3年（1336年）には、常陸の瓜連城で籠城する楠木正家に手を焼く佐竹氏を救援するため武生城に入城し、岩出河原の戦いにて南朝方を撃破しました。さらに、小山氏の滝尻城を石川氏と共に攻め落としました。

建武4年（1337年）1月15日、奥州総大将斯波家長の命に従い、鯨岡乗隆の居城である湯本城攻めに家臣の麻績盛清を派遣しました。

同年5月、霊山城を佐竹氏の中賀野義長と共に攻めます。道中の南相馬市原町の安子橋での戦いでは、家臣の森田国泰が活躍しました。攻城戦では、盛光は城の搦手を担当しました。

7月28日には、常陸伊佐郡内と陸奥好島荘内の本領を足利氏より安堵されています。

1338年7月3日、熊野堂城合戦で南朝方を撃退しました。1339年には室町幕府より好島山を与えられました。

1340年5月27日には、下総国駒城に家臣の細野政義を派兵しています。

1342年には、家長の後任である石塔義房の三男石塔義元と共に南朝と戦いました。5月には室町幕府より陸奥国標葉郡落合村を八幡宮官領として賜りました。

貞和元年（1345年）に吉良貞家が奥州管領として着任すると、翌正平元年（貞和2年、1346年）に貞家は現地の国人を自身の陣営に引き入れるため、盛光らを国府に呼び寄せました。正平2年（貞和3年、1347年）7月には伊達郡藤田城に着陣しています。

1353年には、北畠顕信が籠る宇津峰城を落城させ、南奥における南朝勢力を駆逐しました。

伊賀氏関連

伊賀光宗：伊賀盛光の祖先。
飯野家文書：伊賀氏・飯野氏に関する文書群。盛光に関わる文書が三分の二を占めており、国の重要文化財に指定されています。
* 備州長船住盛景：盛光が所持した大薙刀。国の重要文化財。

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