佐竹義峯

佐竹義峯（さたけ よしみね）

佐竹義峯は、江戸時代中期の大名であり、出羽国久保田藩の第5代藩主です。佐竹氏の第23代当主でもあります。官位は従四位下・侍従、右京大夫、左近衛少将を歴任しました。

生涯

義峯は、3代藩主・佐竹義処の弟である佐竹義長の次男として生まれました。幼名は仙寿丸、のちに求馬と名乗りました。初めは義恭（よしゆき）と名乗っていました。元禄15年（1702年）には、5代将軍・徳川綱吉に御目見えを果たしています。

正徳5年（1715年）に先代藩主・佐竹義格の末期養子となり、家督を相続しました。義峯は義格の従兄であり、義格よりも年長でした。同年には7代将軍・徳川家継にも御目見えし、従四位下侍従・右京大夫に叙任されました。享保2年（1717年）には初めてお国入りの許可を得ています。延享元年（1744年）には左少将に任官しています。

義峯の治世は、先代の義格とは異なり、暗愚な人物であったとされています。倹約令を廃止し、贅を尽くしたため藩財政は悪化の一途を辿りました。財政難を凌ぐため、家臣の知行を借り上げるという強引な手段を用いたとも伝えられています。寛延元年（1748年）には凶作に見舞われ、藩財政は破綻寸前となりました。また、後継者にも恵まれず、当初は一族の佐竹義明を養子に望みましたが、家老らの反対により、最終的には同じく一族の佐竹義堅を養子に迎えることになりました。

寛延2年（1749年）に60歳で死去し、跡は養嗣子・義堅の長男である佐竹義真が継ぎました。法号は円明院月翁智心。墓所は秋田県秋田市泉三嶽根の天徳寺にあります。

逸話

義峯には、巨大な秋田蕗に関する逸話が残っています。江戸で、傘の代わりにもなるほどの大きさの秋田蕗を自慢したところ、他の大名から信じてもらえませんでした。そこで、領民が山野を捜索し、巨大な蕗を2本発見し、江戸に運びました。藩邸で他の大名に見せたところ、その大きさに驚き、義峯の名誉は回復されたとされています。この出来事により、巨大な秋田蕗の存在が広く知られるようになったといわれています。

この逸話は、馬場文耕が秋田騒動を描いた『秋田杉直物語』に佐竹義峯の事として記されています。ただし、馬場文耕は宝暦8年（1759年）に処刑されているため、佐竹義和のエピソードとする説には矛盾が生じます。また、山本周五郎の小説『蕗問答』（1940年）では、義和の父である佐竹義敦のエピソードとされています。

系譜

父：佐竹義長（1655-1741）
母：聖相院 - 松浦鎮信の養女、松浦信忠の娘
養父：佐竹義格（1695-1715）
正室：利姫、円宗院（1702-1745） - 黒田長清の娘
側室：保野（ほの）、寛厚院（1698-1734） - 安田氏
長女：照（蓮寿院）（1720-1786） - 松平定喬正室
次女：冨（玉鳳院）（1722-1744） - 戸田光雄正室
三女：花顔清空童女（1724-1724） - 夭折
四女：直（光源院）（1729-1748） - 佐竹義明正室
長男：仙壽丸（1731-1732） - 夭折
五女：壽（本清院）（1734-1798） - 松浦邦正室
側室：伊與、心涼院（?-1735） - 永田氏
次男：陽山瞬光童子（1735-1735） - 夭折
養子
男子：佐竹義堅（1692-1742） - 佐竹義都の長男
男子：佐竹義真（1728-1753） - 佐竹義堅の長男

偏諱を受けた人物

義峯の時代に偏諱を受けた人物として、以下のような家臣が挙げられます。

渋江峯光
伊達峯宗
多賀谷峯経
多賀谷峯家（戸村義見の次男で峯経の養子）
* 多賀谷峯章（戸村義見の三男で峯経の養子）

佐竹義峯は、藩主としての手腕には疑問が残るものの、その逸話や家族構成、家臣団を通じて、江戸時代中期の大名として歴史に名を刻んでいます。

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