佐竹義道

佐竹義道（さたけ よしみち）

佐竹義道は、江戸時代中期に活躍した大名で、出羽国岩崎藩の第2代藩主です。通称を源六郎、求馬といい、官位は従五位下・壱岐守、和泉守を称しました。佐竹氏の一族である佐竹壱岐守家の2代目当主にあたります。

生い立ちと藩主相続

佐竹義道は、佐竹東家の当主である佐竹義本の長男として生まれました。幼名は富千代といい、生年は元禄14年（1701年）説と元禄16年（1703年）説があります。享保2年（1717年）に岩崎藩主・佐竹義長の養子となり、後継者のいなかった岩崎藩佐竹家を継承することになりました。義長の実子・義峯は本家の久保田藩主となっていたためです。同年、8代将軍・徳川吉宗に謁見し、翌年には義長の隠居に伴い家督を相続、従五位下・壱岐守に叙任されました。その後、駿府加番も務めています。

秋田騒動との関わり

講談『秋田杉直物語』では、義道は野心家として描かれ、秋田藩家臣の那珂忠三郎と共謀して本家藩主を毒殺し、自身の長男を擁立したとされています。しかし、この物語は馬場文耕によって書かれたもので、義道は燈明寺の別当に騙される人物として描かれています。文耕は、義道が別当の言葉を鵜呑みにして喜ぶ様子を嘲笑的に描写しており、義道は物語の中で、軽率な人物として造形されています。

秋田騒動後、那珂忠左衛門は「怪しき書き付け」が発見されたことから糾明を受けることになりますが、身の危険を感じ松平隠岐守邸に立てこもります。その後、義道が松平家を訪れ那珂を引き渡すよう要求したため、那珂は久保田藩に連行され処刑されています。

阿波藩との関わり

義道は四男の義居（後の蜂須賀重喜）を徳島蜂須賀家へ養子に出しています。『阿淡夢物語』によれば、義道は、長男を本家の跡継ぎに、四男を他藩の養子に出したいと考えていたところ、阿波藩の江戸家老である賀島出雲と知り合い、互いの利害が一致したため、養子縁組を画策したとされています。三田村鳶魚は、義道を「本家のみならず、阿波家をも物にした御家騒動の製造人であり、成功者である」と評しています。

隠居と死去

宝暦13年（1763年）に三男の義忠に家督を譲って隠居し、翌年に亡くなりました。享年64。法号は大仙院殿道安円成、墓所は東京都板橋区の総泉寺です。

系譜

実父：佐竹義本
実母：広幡豊忠の養女、久我通名の娘
養父：佐竹義長
正室：昆、明鏡院（佐竹義長の娘）
継室：内藤政森の娘
子女
佐竹義明（長男）：佐竹義真の養子
佐竹義敏（次男）
佐竹義忠（三男）：岩崎藩主を継承
蜂須賀重喜（四男）：蜂須賀至央の養子
* 松平直道正室


佐竹義道は、その生涯において様々な出来事に関わり、特に秋田騒動や阿波藩との関わりは、後世に様々な議論を呼んでいます。その野心的な行動は、当時から賛否両論があり、その評価は今も分かれています。

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