余益人

余益人について

余益人（よ/あぐりのますひと）は、奈良時代の貴族及び陰陽師として知られています。彼の出自は無姓の余氏から始まり、後に百済朝臣と改称しました。父は陰陽師として名を馳せた余泰勝であり、余益人自体もまた当時の権力と結びついた重要な人物でした。

経歴の詳細

余益人は、淳仁天皇の治世のもとで、天平宝字2年（758年）には大宰陰陽師として従六位下の位を得ていました。この頃、彼は造法華寺判官の余東人らと共に、無姓だった余姓を百済朝臣に改めるという重要な決定を下しました。これにより、彼は新たな社会的地位を築くこととなります。

特に注目すべきは、天平宝字8年（764年）に起こった藤原仲麻呂の乱で、余益人が孝謙上皇側に与している点です。この乱では、他の貴族たちと共に政治的な立場を取ることが求められた時期であり、余益人もその一員でした。乱の結果、彼には叙位が行われ、同年10月には従五位下に叙爵されました。さらに、11月には乱で亡くなった石川氏人の後を継ぎ、周防守に任命されています。このように、彼の経歴は当時の政治状況と深く関わっていることがわかります。

官歴の年表

• - 時期不詳: 大宰陰陽師として従六位下
• - 758年6月4日: 百済朝臣に改姓
• - 時期不詳: 正六位上
• - 764年10月7日: 従五位下
• - 764年11月16日: 周防守に任命

系譜と家族

余益人の父は著名な陰陽師であった余泰勝ですが、母に関する情報は不明です。余益人には二人の息子が確認されており、百済宅継と百済人宗という名が残されています。また、彼には娘もいたとされますが、詳しい情報は伝わっていません。これらの情報は彼の家族背景を理解するうえで重要です。

関連事項

余益人は百済足人と同族である可能性が示唆されており、当時の貴族階級の中での位置を示す一つの要素とされます。彼の存在は、日本の古代史の中での陰陽師の役割や、貴族社会の変動を学ぶ上で欠かせない要素となっています。

参考文献

• - 『続日本紀』3 新日本古典文学大系14（岩波書店、1992年）
• - 『続日本紀』4 新日本古典文学大系15（岩波書店、1995年）
• - 宇治谷孟『続日本紀 （中）』（講談社〈講談社学術文庫〉、1992年）
• - 宝賀寿男『古代氏族系譜集成』（古代氏族研究会、1986年）

このように、余益人は奈良時代の貴族および陰陽師として、多くの歴史的背景を持つ人物であることがわかります。彼の経歴や家族、そして当時の政治情勢との関連が、彼の存在価値を一層際立たせています。

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