李虎

李虎（り こ）

李虎（生年不詳 - 大統17年（551年））は、西魏の武将であり、字は文彬。代郡武川鎮（現在の内モンゴル自治区フフホト市武川県）の出身です。父は李天錫、母は賈氏。彼は李昞の父であり、唐の高祖李淵の祖父にあたります。西魏の隴西郡公であり、没後に成立した北周においては、建国の功臣として唐国公が追贈されました。

生涯

李虎の伝記は、本来であれば西魏または北周の歴史書に記されるべきですが、『北史』や『周書』などの正史には列伝がありません。これは、西魏・北周期の正史が唐代に編纂されたため、追尊皇帝であった李虎の臣下としての伝記が作成されなかったためです。

しかし、『冊府元亀』、『資治通鑑』、『西魏書』などの後代の史書には、李虎に関する記述が見られます。ただし、これらの記述は唐代に皇祖である彼を顕彰するために作成された史料に基づいていると考えられており、評価には注意が必要です。

529年、北海王元顥が南朝梁の支援を受けて洛陽に攻め込んだ際、李虎は賀抜岳の傘下として活躍し、爾朱兆・賀抜勝を打ち破りました。その後、万俟醜奴討伐でも功績を挙げ、寧朔将軍・屯騎校尉から東雍州刺史・衛将軍に進み、武川鎮軍閥を率いた賀抜岳の腹心となりました。534年に賀抜岳が暗殺されると、李虎は軍閥の崩壊を防ぐために荊州の賀抜勝に救いを求めましたが、賀抜勝は応じませんでした。その間に宇文泰が軍閥を掌握し、孝武帝を長安に迎え入れた（西魏の成立）ため、李虎もこれに従い、驍騎大将軍に任じられました。

その後、霊州刺史の曹泥の反乱を鎮圧し、沙苑の戦いにも従軍しました。538年には、趙青雀の乱の反乱軍が長安に突入した際、皇太子を連れて一時長安を脱出しています。これらの功績により、開府儀同三司となり、隴西郡公に任ぜられました。

548年には右軍大都督・少師に任じられました。当時の西魏には「八柱国」と呼ばれる8名の柱国大将軍がいましたが、李虎はその一人でした。ただし、彼の序列については諸説あります。

前島佳孝の研究によれば、548年は北周で行われることになる『周礼』に基づいた官制の前提になる官制改革が行われた年であり、李虎が任じられたとされる太尉などの三公をはじめとして前漢以来の官制が廃止された年でした。そのため、李虎が太尉に任じられたというのは史実ではない可能性があると指摘されています。また、八柱国のうち宇文泰を含む6名が六卿に任じられた一方で、李虎と侯莫陳崇だけが六卿から外されたことから、李虎の地位は第7位であったと推測されています。これらの史料操作は、李虎が追尊皇帝とされた唐の時代に編纂されているため、皇祖である彼の地位を高く見せるための政治的配慮があったと考えられています。

551年5月に死去し、隴西襄公の諡を贈られました。北周成立後の564年9月には、建国の功臣として唐国公が追贈され、李昞への継承が認められました。李淵が唐を建国した後、李虎は皇帝として追尊され、廟号を太祖、諡号を景帝とされました。

家族

妻：梁氏
男子：
李延伯（南陽郡公、追贈）
李真（譙王）
李昞（世祖）
李璋（畢王、李道宗の祖父）
李絵（雍王、李道玄の祖父）
李禕（郇王、李叔良の父）
李蔚（蔡王、李琛・李孝恭・李瑊・李瓌・李瑗の祖父）
李亮（鄭王、李神通・李神符の父）
* 女子：信都郡大長公主（北周の張暠（張誼の子）の妻）

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