六郷扇状地

秋田県美郷町の自然と歴史が織りなす六郷扇状地

秋田県美郷町に位置する六郷扇状地は、雄物川水系の丸子川によって形成された、横手盆地を彩る広大な扇状地です。東西4km、南北5kmにわたるその円形は、奥羽山脈西麓の真昼山地を源流とする丸子川の支流、湯田沢川と善知鳥川の合流地点を扇頂としています。新生代第四紀の更新世末期から完新世にかけて形成されたと推定されており、扇状地の基盤には千屋層、その上部には厚さ20～30mの砂礫層が主体となり、シルトや粘土層も含まれています。南端部の厚さは約50～107mに達し、浅層部には巨礫が多く見られます。

六郷湧水群：恵み豊かな地下水脈

六郷扇状地は、日本を代表する地下水脈を有し、数多くの湧水が湧出しています。この湧水群は「六郷湧水群」として知られ、昭和60年には名水百選に選定されました。遊歩百選にも選ばれ、その豊かな水は人々の生活と歴史に深く関わってきました。旧六郷町中心部とその周辺には、井戸、湧水、自噴井戸など約60箇所もの湧水が確認されており、地域住民の生活用水や農業用水として利用されてきました。主な湧水地は美郷町の観光案内資料や美郷町観光協会の資料で紹介されていますが、小規模な湧水や個人宅の湧水などは割愛されていますので、詳細な情報は現地調査や関係機関への問い合わせがおすすめです。

水源の森百選：七滝水源かん養保安林

六郷扇状地を形成する丸子川の支流である七滝川の源流部は、「七滝水源かん養保安林」として水源の森百選に選ばれています。豊かな森は、地下水脈を涵養し、六郷湧水群の豊富な水量を支える重要な役割を担っています。この保安林は、多様な動植物が生息する貴重な自然環境であり、水源涵養だけでなく、生物多様性の保全上も重要な地域です。

土地利用とアクセス

六郷扇状地は、美郷町の市街地を形成する中心的な地域となっています。扇状地周辺は水田が広がり、古くから続く「七滝用水」による灌漑システムが、円形分水工を用いて効率的に水を供給しています。この伝統的な灌漑システムは、扇状地の地形を生かした、先人たちの知恵が凝縮されたものです。アクセスは、JR奥羽本線・田沢湖線・秋田新幹線大曲駅前の大曲バスターミナルと、JR奥羽本線・北上線横手駅前の横手バスターミナルを結ぶ羽後交通の路線バス（横手大曲線）が六郷市街地を経由しているため、比較的容易です。

まとめ

六郷扇状地は、自然と歴史が織りなす、秋田県美郷町の貴重な地域です。豊かな湧水、美しい自然、そして伝統的な灌漑システムなど、多くの魅力が凝縮されたこの場所は、自然と文化を体感できる観光スポットとしておすすめです。地域住民の生活と深く結び付いたこの扇状地の歴史と自然を学ぶことで、地域の文化や環境に対する理解を深めることができるでしょう。

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