劉胤 (東晋)

劉胤（りゅう いん）

劉胤（281年 - 330年）は、東晋時代の官僚・政治家です。字は承胤、本貫は東萊郡掖県。

生涯

劉胤は、後漢の斉悼恵王劉肥の後裔とされています。容姿が美しく、有力者たちと親交を深め、山東地方で名を知られる存在となり、多くの人々から敬慕されました。中央からの招聘を受け司空掾に任じられましたが、就任しませんでした。

華北の戦乱を避けるため、母を連れて遼東へ避難しようとしたところ、幽州刺史の王浚に引き止められ、勃海郡太守に任じられます。314年、王浚が石勒に敗れると、劉胤は冀州刺史の邵続を頼りました。邵続は石勒に降伏を考えていましたが、劉胤は司馬睿に帰順するよう進言。邵続はこれを受け入れ、劉胤を司馬睿のもとに派遣しました。

建康に到着後、劉胤は司馬睿（元帝）に丞相参軍として取り立てられ、尚書吏部郎に昇進。320年に石虎が邵続の守る厭次を攻撃した際、劉胤は元帝に援軍を要請しましたが、邵続がすでに戦死したと聞き、派遣は中止されました。王敦は劉胤を高く評価し右司馬に任じようとしましたが、王敦が皇位簒奪の野心を抱いていることを知っていた劉胤は、病気を理由にこれを拒否しました。このことが原因で、劉胤は豫章郡太守として地方に左遷されることになります。

豫章郡では、豪族の莫鴻が県令を殺害して反乱を起こしていましたが、劉胤が着任すると、莫鴻一派を鎮圧しました。

咸和年間に入ると、平南軍司となり、散騎常侍の位を加えられます。327年末に蘇峻が蘇峻の乱を起こすと、翌年、江州刺史の温嶠が蘇峻討伐のため兵を率いて東下。劉胤は湓口に留まり守備を任されました。乱が鎮圧されると、その功績により豊城県子の爵位を授けられます。その後、温嶠の後任として仮節・平南将軍・都督江州諸軍事・江州刺史に任じられました。

しかし、江州刺史に就任してからの劉胤は、酒に溺れ政務を顧みず、私利私欲に走るようになります。商売に励み財産を増やし、建康の朝廷が江州からの水運に頼っていた歳入を独占しました。この行為が御史の弾劾を受け、免官を奏上されました。そして330年1月29日、郭黙によって暗殺されました。享年49歳。

劉胤の死後、子の劉赤松が後を継ぎ、南平長公主（成帝の娘）を妻に迎え、黄門郎・義興郡太守に上りました。

伝記資料

* 『晋書』巻81 列伝第51

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