劉賜

劉賜（りゅう し）

劉賜（? - 52年）は、中国の新代から後漢時代初期にかけての武将・政治家で、字は子琴、荊州南陽郡蔡陽県（現在の湖北省棗陽市）の出身です。光武帝（劉秀）の族兄にあたります。

生涯

若き日

幼くして孤児となり、兄の劉顕が復讐のために殺人を犯し処刑されたため、劉賜は劉顕の子の劉信と共に刺客を雇い復讐を果たしました。その後、新の追及を受けましたが、赦免されています。地皇3年（22年）、劉縯が反新のために挙兵すると、劉賜もこれに従い、各地を転戦しました。

更始政権下

更始元年（23年）、劉玄が更始帝として即位すると、劉賜は光禄勲に任命され、広漢侯に封じられました。大司徒劉縯が誅殺されると、後任の大司徒となり、汝南郡の討伐に当たりますが苦戦し、甥の劉信と交代させられました。その後、更始帝と共に洛陽へ入ります。

同年9月、河北征伐の派遣者を巡る議論では、劉賜は劉秀の派遣を強く推し、これが採用されました。また、この時、劉賜は丞相に任命され、長安へ赴き宗廟・宮室の修繕を行いました。

後漢への帰順

更始2年（24年）に更始帝が長安に遷都すると、劉賜は前大司馬に転任し、宛王に封じられ、宛に駐留し六部の兵を率いました。しかし、赤眉軍が更始帝に叛き、荊州方面へ進攻してくると、六部の兵は戦わずして逃げ散り、宛を防衛できなくなった劉賜は育陽へ退却しました。

建武元年（25年）、劉賜は武関で更始帝の妻子を保護した上で、洛陽の光武帝（劉秀）に降伏しました。建武2年（26年）に慎侯に封じられ、建武13年（37年）には加増された上で、安成侯に転封されています。劉秀はその忠誠心を高く評価し、格別の厚遇を受けました。

建武28年（52年）に死去し、子の劉閔が後を継ぎました。

劉賜は、混乱の時代を生き抜き、その時々の状況を的確に判断することで、最終的に後漢の安定に貢献しました。光武帝からの厚遇は、彼の功績と人柄を示すものでしょう。

家族

曾祖父: 劉熊渠 - 舂陵侯
祖父: 劉利
父: 不詳
従兄弟: 劉玄（更始帝）
兄: 劉顕
甥: 劉信
子: 劉閔
妹の夫: 樊宏

参考文献

『後漢書』列伝4 安成孝侯賜伝
『後漢書』列伝1 劉玄伝

関連項目

* 新末後漢初

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