加藤新太郎

加藤新太郎について

加藤新太郎（かとう しんたろう、1950年5月28日 - ）は、日本の法曹界において、裁判官、弁護士、法学者として顕著な業績を残した人物です。愛知県岡崎市出身で、愛知県立岡崎高等学校、名古屋大学法学部を卒業後、名古屋大学から博士（法学）の学位を取得しました。そのキャリアは、東京地方裁判所判事補から始まり、東京高等裁判所部総括判事を経て、弁護士登録、中央大学大学院法務研究科教授、アンダーソン・毛利・友常法律事務所顧問など、多岐にわたります。

裁判官としての経歴

1975年に東京地方裁判所判事補に任官して以来、各地の裁判所での勤務を経験しました。最高裁判所事務総局総務局付判事補、大阪地方裁判所判事、釧路地方裁判所・釧路家庭裁判所判事を歴任。その後、司法研修所教官や法務省司法試験考査委員などを務め、1998年には東京地方裁判所部総括判事（民事28部）に就任しました。2005年には新潟地方裁判所長、2007年には水戸地方裁判所長、2009年には東京高等裁判所部総括判事（民事22部）と、要職を歴任。2014年には東京高等裁判所民事長官代行を務め、2015年に依願退官しました。

弁護士・法学者としての経歴

退官後、弁護士登録を行い、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の顧問に就任。また、中央大学大学院法務研究科教授として、後進の育成にも尽力しました。さらに、仲裁ADR法学会理事、中央大学法科大学院フェロー、東京都立大学法科大学院非常勤講師、日本大学大学院法務研究科非常勤講師など、教育・研究機関での活動も積極的に行っています。

人物像

加藤氏は、その真面目な仕事ぶりとは対照的に、ダジャレを好む一面も持ち合わせています。「別紙を蔑視しないこと」や「柵の問題だけに良い策がないか模索中だ。」などの発言は、彼のユーモアセンスを表しています。また、大学時代には大塚仁のゼミに所属し、研究活動にも熱心に取り組み、1992年には「弁護士役割論」で博士号を取得しました。

受章歴

長年にわたる法曹界への貢献が認められ、2021年11月には瑞宝重光章を受章しました。

主な判決

加藤氏が裁判官として関わった主な判決としては、2000年5月30日の東京地裁における池田大作に対する訴権の濫用を認定した判決があります。この判決は、原告側の請求を却下し、控訴、上告も棄却・不受理となり、判決が確定しました。また、2001年4月11日の東京地裁では、早稲田大学江沢民講演会名簿提出事件において、プライバシー権侵害を理由とした学生の損害賠償請求を棄却しましたが、この判決は高裁で破棄されました。

著編書

加藤氏は、法学に関する多くの著書や編著を執筆しており、その知識と経験を社会に還元しています。

『弁護士役割論』（弘文堂、1992年、新版2000年）
『手続裁量論』（弘文堂、1996年)
（塚原朋一・園尾隆司・柳田幸三との共編）『新民事訴訟法の理論と実務』（ぎょうせい、1997年)
（小島武司・那須弘平との共著）『民事模擬裁判のすすめ 』（有斐閣、1998年）
『民事尋問技術』（ぎょうせい、1996年、新版1999年)
（田尾桃二との共編）『民事事実認定』（判例タイムズ社、1999年）
『民事訴訟審理』（判例タイムズ社、2000年）
『民事司法展望』（判例タイムズ社、2002年）
『簡裁民事事件の考え方と実務 』（民事法研究会、2002年、第3版2005年）
（秋山幹男・伊藤眞・高田裕成・福田剛久・山本和彦との共著）『コンメンタール民事訴訟法I・II・III』（日本評論社、I・II2002年、第2版2006年、 III2008年）
（細野敦との共著）『要件事実の考え方と実務』（民事法研究会、2002年、第2版2006年）
（小島武司・伊藤眞・田中成明との共著）『法曹倫理』（有斐閣、2004年、第2版2006年）
『ゼミナール裁判官論』（第一法規、2004年）
（大江忠・山本和彦との共編）『手続裁量とその規律―理論と実務の架橋をめざして』（有斐閣、2005年）
『コモン・ベーシック弁護士倫理』（有斐閣、2006年）
（伊藤眞との共編）『［判例から学ぶ］民事事実認定』（有斐閣、2006年）
（伊藤眞・山本和彦との共著）『民事訴訟法の論争』（有斐閣、2007年）
（加藤雅信との共著）『現代民法学と実務-気鋭の学者たちの研究のフロンティアを歩く　上中下』（判例タイムズ社、2008年）
* （能見善久との共編）『論点体系判例民法（全10巻）』（第一法規出版、2009年）

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