北澤憲昭

北澤憲昭（きたざわ のりあき）は、1951年5月8日に東京都で生まれた、日本の美術評論家、美術史家です。彼は特に近現代日本[[美術史]]を専門とし、その研究は美術界に多大な影響を与えています。女子美術大学の名誉教授であり、武蔵野美術大学の客員教授も務めています。また、美術評論家連盟の会員としても活動しています。

北澤氏の学術的な業績は、数多くの著作に結実しています。彼の著書は、日本の美術史における重要なテーマを深く掘り下げ、新たな視点を提供しています。特に、1989年に美術出版社から出版された『眼の神殿――「美術」受容史ノート』は、美術史研究における画期的な作品とされ、1990年には第12回サントリー学芸賞を受賞しました。この作品は、美術という概念がどのように受容されてきたのかを歴史的に考察したもので、美術史研究において重要な転換点となりました。その後、この著作は2010年と2020年にそれぞれ増補版、再訂版が出版され、その影響力は今もなお色褪せていません。

その他の主要な著書としては、『岸田劉生と大正アヴァンギャルド』（1993年、岩波書店）、『境界の美術史――「美術」形成史ノート』（2000年、ブリュッケ、2023年に増補改訂版がちくま学芸文庫から出版）、『アヴァンギャルド以後の工芸――「工芸的なるもの」をもとめて』（2003年、美学出版）、『「日本画」の転位』（2003年、ブリュッケ）、『美術のポリティクス――「工芸」の成り立ちを焦点として』（2013年、ゆまに書房）、『反覆する岡本太郎　あるいは「絵画のテロル」』（2013年、水声社）、『〈列島〉の絵画――「日本画」のレイト・スタイル』（2015年、ブリュッケ）、『逆光の明治――高橋由一のリアリズムをめぐるノート』（2019年、ブリュッケ）などが挙げられます。これらの著作は、日本[[美術史]]におけるさまざまなテーマを、独自の視点と綿密な考証によって分析しており、美術史研究に新たな知見をもたらしています。

また、共編著も多数あり、その中には『人の「かたち」人の「からだ」――東アジア美術の視座』（1994年、平凡社）、『岸田劉生 内なる美――在るということの神秘』（1997年、二玄社）、『語る現在、語られる過去――日本[[美術史]]学の100年』（1999年、平凡社）、『美術のゆくえ、美術史の現在――日本・近代・美術』（1999年、平凡社）、『兆民をひらく――明治近代の〈夢〉を求めて』（2001年、光芒社）、『「日本画」――内と外のあいだで』（2004年、ブリュッケ）、『講座 日本[[美術史]] 第6巻「美術を支えるもの」』（2005年、東京大学出版会）、『フィールド・キャラバン計画へ――白川昌生 2000-2007』（2007年、水声社）、『美術批評と戦後美術』（2007年、ブリュッケ）、『美術史の余白に――工芸・アルス・現代美術』（2008年、美学出版）、『日本の表現主義』（2009年、東京美術）、『近代美術の名作150』（2013年、美術出版社）、『ラッセンとは何だったのか？――消費とアートを越えた「先」』（2013年、フィルムアート社）、『美術の日本近現代史――制度 言説 造型』（2014年、東京美術）、『日本美術全集 第17巻「前衛とモダン」』（2014年、小学館）、『「美術」概念の再構築[アップデイト]――「分類の時代」の終わりに』（2017年、ブリュッケ）、そして古田亮との共編による『日本画の所在　東アジアの視点から』（2020年、勉誠出版）などがあります。

これらの著作と編著を通して、北澤憲昭は日本の美術史研究において、多角的な視点と深い洞察を提供し続けています。彼の研究は、美術史における様々な問題を再考させ、新たな研究の方向性を示唆するものであり、その学術的な貢献は非常に大きいと言えるでしょう。

もう一度検索