十三本木峠
十三本木峠（じゅうさんぼんぎとうげ）
十三本木峠は、岩手県二戸郡一戸町の南部に位置する峠であり、奥中山峠、中山峠とも呼ばれています。この峠は、陸羽街道を起源とする国道4号や、かつて東北本線の一部であったIGRいわて銀河鉄道線が通過しており、古くから主要な道路や鉄道が通る交通の要衝として知られています。
道路
国道4号における最高地点であり、標高は458メートルです。東北自動車道は、滝沢市以南で国道4号と並行していますが、滝沢IC以北では大きく西へ迂回し、国道282号と花輪線に沿って安代JCTを経由し、鹿角市・弘前市を経て青森市へと至るルートを取るため、十三本木峠は通過しません。八戸自動車道は、安代JCTで東北自動車道から分岐し、一戸町北部の一戸ICで国道4号と接続しますが、一戸町南部にある十三本木峠を迂回するルートを通ります。そのため、滝沢ICまで東北自動車道を利用し、そこから国道4号を経由する大型長距離自動車が多く、スリップ事故や正面衝突事故が多発しています。これは、高速料金を抑えたいドライバーの意向だけでなく、安代付近の天候が変わりやすく、冬期には吹雪による通行止めやチェーン規制が頻繁に実施されることも影響しています。
鉄道
鉄道においては奥中山峠とも呼ばれていました。かつての東北本線の最高地点であり、最大23.8パーミルの勾配が連続する区間は、蒸気機関車時代には最大の難所でした。峠を挟んで、北側の一戸には機関区が、南側の沼宮内には機関区支区が設けられ、峠を通過するほとんどの列車には補助機関車が連結されていました。第二次世界大戦後には、1000トン級の重量貨物列車を中心に、2両の補助機関車を連結した三重連運転が本格化しましたが、1965年以降はDD51形ディーゼル機関車の導入により、その数は減少していきました。SLブームが起こる中、D51形やC61形、C60形などの大型蒸気機関車が、重連や三重連でこの峠を越える姿は、鉄道ファンの注目を集めました。複線電化が完成する直前の1968年9月27日には、最後の三重連が十三本木峠を通過しました。
1960年前後までは、旅客列車の牽引機としてC57形やC55形、C51形なども使用されていました。秋口になると落ち葉によってレールが滑りやすくなり、現在でも貨物列車が峠を登りきれなくなることがあります。
関連項目
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。