十勝エコロジーパーク

十勝エコロジーパークとは

北海道の河東郡音更町、中川郡幕別町、中川郡池田町の三町にまたがる広大な敷地を持つ公園です。その一部は北海道立公園としても指定・管理されています。この公園は、「自然と人間の調和を目指す」「100年先を見据えた環境の育成」「地域住民による活動を促す」「十勝地域の情報を発信する」という四つの重要な理念に基づき整備された、自然環境を体験できる施設です。

公園の特色

十勝エコロジーパークは、訪れる人々が北海道の豊かな自然を五感で感じられるよう設計されています。園内は雄大な十勝川を挟んで広がり、四季折々の風景の中で散策を楽しむことができます。散策路を歩けば、様々な種類の野鳥のさえずりに耳を傾けたり、川に生息する魚たちの姿を観察したりする機会が得られます。特に、公園の一部を構成する散策路は、近隣の十勝川温泉へと続くフットパスルートの一部にもなっており、ウォーキングや軽運動に訪れる人々で賑わいます。

設立の背景と歴史

この公園の建設は、単独の事業ではなく、国、北海道、そして帯広市を含む周辺三町（音更町、幕別町、池田町）が連携して進めた広域プロジェクトとして行われました。具体的には、国が実施した十勝川の治水対策としての千代田新水路事業、北海道が進めた十勝圏における道立広域公園事業、そして各自治体による都市計画公園事業などが一体となって推進されました。その起源は、1983年に北海道東北開発公庫が発表した「21世紀のビジョン」の中で提案された「サーモンパーク構想」にまで遡ります。この構想に触発された地元関係者、特に十勝川温泉の経営者や帯広青年会議所が中心となり、市民を巻き込んだ熱心な活動が展開され、1985年には具体的な推進母体となる「十勝サーモンパーク懇話会」が設立されました。

その後、1995年には千代田新水路事業が着工し、公園建設に向けた動きが本格化します。1997年には公園の管理運営を担う「十勝エコロジーパーク財団」が設立され、組織体制が整えられました。そして1998年には、道立公園を含む広域公園の正式名称が「十勝エコロジーパーク」と決定され、都市計画が定められました。段階的な整備を経て、2003年には公園の一部（約56ヘクタール）が先行して供用を開始し、その優れた設計は「第19回都市公園コンクール」で国土交通大臣賞を受賞するなど、高い評価を受けました。2006年には道立公園区域の全面供用が開始され、翌2007年には千代田新水路も利用可能となりました。そして2008年、ついに十勝エコロジーパーク全体が全面供用を開始し、現在の規模となりました。

充実した施設

広大な敷地内には、多様な活動をサポートするための施設が豊富に整備されています。公園の情報提供や休憩ができるビジターセンターをはじめ、管理事務所、軽食を楽しめるエコパカフェ、悪天候時でも緑を楽しめるインドアガーデン、企画展示が行われるギャラリーなどがあります。自然の中での滞在を希望する方のために、快適なコテッジやトレーラーハウス、さらに様々なスタイルのキャンプサイト（電源設備のないサイト、電源付きのオートキャンプサイト、自由な設営が可能なフリーテントサイト）も完備されています。共同で利用できる炊事場やトイレも適切に配置されています。子供たちが思い切り遊べる場所として、フワフワドーム、多目的に使える土のフォーリー、夏期に人気の水と霧の遊び場などがあります。その他にも、静かな水辺の大池、広々としたピクニック広場、そして十勝川を行き来する魚たちを水中から観察できる珍しい施設「ととろ～ど」（魚道観察室）があり、訪れる人々に多様な楽しみ方を提供しています。

季節ごとの生態観察

十勝エコロジーパークは、四季折々の豊かな自然に恵まれ、様々な生き物たちの営みを観察できる場所としても知られています。春になると、芝生が黄色いセイヨウタンポポで覆われ、キタキツネが子育てを始める微笑ましい光景が見られます。夏には、園内に点在するハルニレの木から出る樹液に、ミヤマクワガタをはじめとする昆虫たちが集まる様子を観察できます。秋が深まると、公園に隣接する千代田堰堤や千代田分流堰の周辺では、サケやマスが産卵のために川を遡上する光景が最盛期を迎え、生命の力強さを感じさせます。そして冬になると、園内や周辺の水辺には、越冬のために遠くからタンチョウヅルやオジロワシ、オオワシといった大型の渡り鳥が飛来し、その雄大な姿を見ることができます。園内の河畔林には、ヤナギやケショウヤナギなどが茂り、多様な動植物の生息環境となっています。

年間を通じてのイベント

公園では年間を通じて様々なイベントが開催され、訪れる人々に季節ごとの楽しみを提供しています。過去には、2012年8月にシンガーソングライターの松山千春氏がピクニック広場で大規模な野外ライブを行い、多くのファンが集まりました。恒例のイベントとしては、初夏（概ね6月頃）には十勝川沿いの自然を満喫しながら歩くフットパスウォーキングが開催されます。また、冬季期間（11月から3月頃）には「ウィンターフェスinエコパ」と題し、雪を使ったアクティビティや冬ならではのイベントが行われます。特に1月には、家族や友人同士で協力して雪だるまを作る親子雪だるまコンテストなどが開催され、冬の公園に活気をもたらしています。

アクセス情報

十勝エコロジーパークへのアクセスは、主に北海道道73号帯広浦幌線や国道38号線などを利用するのが便利です。公園の音更町側エリアは、北海道有数の温泉地である十勝川温泉街に隣接しており、十勝川温泉アクアパークや十勝が丘公園といった周辺のレジャー施設にも近い立地です。公共交通機関からのアクセスとしては、JR北海道の帯広駅から車で約20分、道東自動車道の音更帯広インターチェンジからも車で約20分程度で到着できます。また、空路を利用する場合、とかち帯広空港からは車で約40分と、比較的容易にアクセスできる場所に位置しています。

十勝エコロジーパークは、自然環境の保全と活用、環境教育、そして地域社会の交流拠点という多様な役割を担っています。広大な敷地と充実した施設、そして豊かな自然環境は、訪れるすべての人々に素晴らしい体験と学びの機会を提供し、十勝地域の魅力を発信し続けています。

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