千田氏

千田氏とは

千田氏（ちだし）は、日本の氏族の一つで、良文流房総平氏の流れを汲み、下総国千田荘を拠点とした一族です。千葉氏の嫡流であり、その歴史は、源頼朝が房総に逃れた際に、千葉氏一族が大きな役割を果たしたことに始まります。

千田氏の隆盛

治承4年（1180年）、石橋山の戦いで敗れた源頼朝が房総へ逃れた際、千葉常胤の嫡孫である成胤が、千余騎を率いて千田荘に侵入した藤原親政をわずか七騎で迎え撃ち、生け捕りにしました。この戦果は、治承・寿永の乱を制する大きな原動力となりました。乱の後、千田荘は八幡荘と共に千葉氏の拠点となり、成胤の娘である千田尼から甥の泰胤、その娘から宗胤へと相続されました。

千田氏の衰退

宗胤は、文永の役での負傷がもとで、建治元年（1275年）に肥前国小城郡で亡くなった父・頼胤に代わり九州へ赴きます。その間に、弟の胤宗に千葉氏の家督を横領されてしまいます。宗胤も九州で没した後、その子である胤貞は、南北朝の戦いで北朝方につき、建武2年（1335年）に千葉氏の家督を賭けて、胤宗の子である貞胤の本拠地、千葉荘を攻めました。これに対し、貞胤方は胤貞の本拠地である千田荘を蹂躙し、この騒乱は下総国中に広がったとされています。最終的に、南朝方の新田義貞の軍に属した貞胤は、建武3年（1336年）に足利尊氏軍に降伏し、胤貞も下総への帰路で病没したため、北朝方に寝返った胤宗の子孫が千葉氏宗家を名乗ることになります。そのため、宗胤の次男である胤泰は、九州千葉氏として活路を見出しましたが、宗家の地位を失った千田氏は、次第に衰退していきました。

奥州への移住

暦応年間（1338年から1342年）には、千田重親（中務小輔）が奥州の葛西氏のもとへ下向し、桃生郡太田城（現在の宮城県石巻市）に住み着きました。その後、室町時代から戦国時代にかけて、北上川流域（現在の宮城県北部から岩手県南部）に勢力を拡大しましたが、天正18年（1590年）に豊臣秀吉による奥州仕置により、奥州千田氏は主君と共に改易となり、伊達領と南部領へ移り住むことになりました。江戸時代に入ると、仙台藩領の千田氏は伊達政宗から胆沢郡大肝煎に任ぜられ、半士半農の郷士として存続しました。

系図

千葉泰胤（千田次郎）
　　┃
　 娘（千葉頼胤室）
　　┣━━━━━━━━━━━━┓
　宗胤　　　　　　　　　　　胤宗
　　┣━━━━━━┓　　　　　┃
　胤貞　　　　　胤泰　　　　貞胤
　　┣━━┓（九州千葉氏）（千葉氏）
　 胤平　胤継
　　　　　┃
　　　　胤氏

脚注

『吾妻鏡』
金沢文庫所蔵『華厳五教章纂釈』奥書

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典』 12 千葉県、角川書店、1984年3月。ISBN 4040011201。

関連項目

千田城

外部リンク

千田千葉氏 千葉一族
千葉氏と千田庄 多古町デジタルアーカイブ

もう一度検索