叔孫建

叔孫建（しゅくそん けん）

叔孫建（365年 - 437年）は、中国北魏の軍人であり、その生涯を戦乱の時代に捧げました。代郡を本貫とし、若くして智勇兼備の名を知られていました。

生涯

道武帝が賀蘭部に身を寄せていた頃から側近として仕え、その才能を発揮し始めました。登国初年には外朝大人となり、安同らと共に国政に参画。軍事や行政の重要な計画に深く関与しました。秦王拓跋觚に従い後燕への使者として赴き、6年間の長きにわたる任務を終えて帰国。その後、後将軍の位を授けられました。

都水使者、中領軍といった要職を歴任し、安平公の爵位を受け、龍驤将軍の位を加えられました。并州刺史として地方政治にも携わりましたが、後に免官となり、鄴城の園を守る日々を送りました。

明元帝の即位に伴い、正直将軍・相州刺史として再び重用されます。416年、劉虎らが北魏に反乱を起こすと、明元帝の命を受け、その討伐に赴きました。見事これを鎮圧し、1万人以上を斬首、10万人以上を捕虜とするという大戦果を挙げました。

東晋の劉裕が後秦を討伐する際、その部将である王仲徳が先鋒として滑台に迫ると、北魏の兗州刺史であった尉建は滑台城を放棄して黄河を渡ってしまいました。王仲徳が滑台に入城すると、叔孫建は明元帝の命を受け、河内から枋頭へ向かい情勢を視察。その後、再び命を受け渡河し、尉建を斬り、その遺体を黄河に投棄しました。王仲徳の軍に対し、国境侵犯を厳しく非難し、司馬の竺和之との会談では、公孫表を派遣して対応しました。劉裕と王仲徳は魏晋間の衝突を避けるため、低姿勢を維持。叔孫建は南平公長孫嵩と共に劉裕の動静を警戒しました。417年、東晋の滎陽守将である傅洪が虎牢から降伏を申し出てきたことや、東晋の譙王司馬文思が劉裕討伐を願い出たことを受け、明元帝は長孫嵩に劉裕を討たせましたが、敗北に終わりました。

平城に帰還後、鄴に出向し駐屯。娥清・周幾らと共に西山の丁零の翟蜀・洛支らを討伐し、滅ぼしました。418年には広阿鎮将に転じ、422年には使持節・都督前鋒諸軍事・楚兵将軍・徐州刺史に任じられ、軍を率いて平原から黄河を渡り、青兗諸郡を巡りました。南朝宋の兗州刺史であった徐琰が逃亡したため、東方の青州に進軍。司馬愛之と司馬秀之が済東で降伏しました。423年には臨淄に入り、宋の前東牟郡太守であった張幸先が2千人を率いて女水で叔孫建を迎えました。宋の青州刺史である竺夔を東陽城に包囲しましたが、宋の将軍檀道済と王仲徳が救援に駆けつけたため、敗れて帰還。しかし、その功績により寿光侯の爵位を受け、鎮南将軍の位を加えられました。

428年、定州の丁零である鮮于台陽や翟喬ら2000家以上が北魏に反抗し西山に入り、周辺の郡県を荒らすと、叔孫建がこれを討伐し鎮圧しました。430年、汝陰公長孫道生と共に黄河を渡ると、宋の到彦之や王仲徳らは清水から済水に入り、東方の青州へ逃れました。宋の兗州刺史である竺霊秀が須昌を放棄し、南の湖陸に逃れると、叔孫建はこれを追撃し撃破、5000人以上を斬首し、鄒魯まで進軍しました。その後、軍を返して范城に駐屯。太武帝により平原鎮大将に任じられ、丹陽王に封じられ、征南大将軍・都督冀青徐済4州諸軍事を加えられました。北魏は南方に展開した軍を河上に集結させ、1軍は洛陽を、もう1軍は滑台を攻撃。宋の檀道済と王仲徳が滑台の救援に向かうと、叔孫建は長孫道生と共に宋軍を挟み撃ちにしました。魏軍が穀物を焼き宋軍の糧道を絶ったため、檀道済の兵は飢え、離反する者が相次ぎ、安頡らが滑台を陥落させることに成功しました。

437年1月、73歳でその生涯を閉じました。諡は襄といい、金陵に陪葬されました。

子女

叔孫俊（安城公）
叔孫隣（丹陽公、尚書令、涼州鎮大将・鎮西将軍）

伝記資料

『魏書』巻29 列伝第17
『北史』巻20 列伝第8

もう一度検索