古応芬

古応芬（こ おうふん）：清末民初の政治家・革命家

古応芬は、清末から民初にかけての激動期に活躍した政治家であり、革命家です。字は勷勤、湘芹といい、清朝末期には革命派として、中華民国時代には中国国民党の右派として活動しました。その生涯は、中国近代史の重要な転換点と深く関わっています。

革命派としての活動

古応芬は裕福な家庭に生まれ、1902年に秀才となります。1904年には、両広総督の岑春煊の派遣により、胡漢民や汪兆銘らとともに日本へ留学します。翌1905年には、胡漢民、汪兆銘らとともに中国同盟会に加入し、革命運動に身を投じました。1906年6月には法政大学法政速成科を卒業。同期には、胡漢民、汪兆銘の他、李文範、張一鵬、孫潤宇らがいました。その後も同大学専門部で学び、1907年に帰国すると、広東法政学堂で教鞭を執ります。また、広東咨議局秘書を務める傍ら、密かに革命派の活動を展開しました。

1911年、古応芬は香港で黄興、胡漢民らと広州起義を計画しました。辛亥革命後、広東都督府が成立し、胡漢民が都督に就任すると、古応芬は都督府秘書長に任命されました。その後、核計院院長や瓊崖綏靖署総弁などの要職を歴任。1913年の二次革命では袁世凱打倒のために革命派に参加しましたが、敗北後は南洋で資金調達に奔走しました。

孫文を支持

1918年以降、古応芬は粤軍（広東軍）の陳炯明の軍事行動に同行します。1920年には広東省政務庁長に就任。1922年3月、粤軍第1師師長の鄧鏗が暗殺されると、古応芬は第1師参謀長の李済深を後任師長に推薦し、実際に李済深が後任となりました。また、鄧鏗が尽力していた孫文と陳炯明の調停を引き継ぎましたが、これは実らず、辞職を余儀なくされました。同年6月、陳炯明が孫文に反旗を翻すと、古応芬は孫文支持に転じ、陳炯明討伐に尽力します。1923年には、大本営江門弁事処主任、大本営法制局局長、陸海軍大元帥府大本営秘書長、大本営財政部長兼広東省財政庁長を歴任し、陳炯明討伐において特に財政面で大きく貢献しました。1925年7月、国民政府の成立に伴い、古応芬は国民政府常務委員兼広東省政務庁長に任命され、8月には廖仲愷の暗殺後、国民政府財政部長兼広東省財政庁長に就任しました。

国民党右派としての活動

1926年1月、古応芬は中国国民党第2期中央監察委員に選出されました。蔣介石が台頭すると、国民党左派や中国共産党の活動への反発から、古応芬は蔣介石に接近しました。1927年4月12日の上海クーデターを支持し、自身も広州で共産党排除を行いました。南京に蔣介石主導の国民政府が成立すると、政府常務委員兼財政部長代理に就任し、財政改革に取り組みました。その後も国民政府文官長、国民党中央監察委員などを歴任しましたが、党内抗争の激化に心労を感じ、1930年に辞職して広州に戻りました。

1931年2月、蔣介石との約法をめぐる路線対立から胡漢民が拘禁されると、古応芬はこれに反発しました。5月には、汪兆銘、孫科、唐紹儀らとともに広州で非常会議を開催し、南京とは別に国民政府を組織しました。しかし、9月の満洲事変を機に、党内各派が大同団結に向かうと、古応芬も蔣介石と汪兆銘の和解に尽力しました。同年10月28日、古応芬は広州で病没。享年59歳でした。

古応芬は、清末から民初にかけての激動期を生き抜き、革命運動、孫文支持、国民党右派としての活動を通して、中国近代史に大きな足跡を残しました。

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