吉田和男

吉田和男：多岐にわたる分野を研究する経済学者

吉田和男は、1948年生まれの日本の経済学者であり、元財務官僚です。数理経済学、公共経済学、財政学、非線形経済学、日本経済論、日本財政論、複雑系経済学、進化経済学、ベンチャー経済論、IT経済論、憲法学、陽明学、哲学など、非常に幅広い分野を研究しています。その活動は学術研究に留まらず、教育者、著述家としても多岐に渡ります。

経歴

大阪府池田市出身の吉田氏は、1971年に京都大学経済学部を卒業後、大蔵省に入省しました。大蔵省では、証券局、名古屋国税局、大臣官房などを経て、主計局主計官補佐を務めました。その後、大阪大学経済学部助[[教授]]を経て、京都大学経済学部助[[教授]]、教授として教鞭を執りました。

2006年から2008年にかけては、京都大学大学院経営管理研究部長兼教育部長、経営管理大学院院長を兼任し、京都大学ビジネススクールの設立に尽力しました。2012年に京都大学を定年退職後、京都産業大学教授に就任しています。

幅広い研究分野

吉田氏の研究分野は非常に多岐にわたります。数理経済学や公共経済学といった伝統的な経済学に加え、複雑系経済学や進化経済学といった新しい分野にも精通しています。また、日本経済や財政に関する深い知識を持ち、その構造や問題点について積極的に提言を行っています。さらに、IT経済やベンチャービジネスについても研究しており、幅広い視点から経済を捉えています。

社会活動と啓蒙活動

吉田氏は、学術研究以外にも、様々な社会活動に積極的に参加しています。関西社会経済研究所やメルコ学術振興財団などの理事を務め、社会経済の発展に貢献しています。また、関西ベンチャー学会会長や21世紀日本フォーラム代表幹事などを務め、ベンチャービジネスや政策提言にも尽力しています。

啓蒙活動にも熱心で、多くの著書を出版しています。保守的な思想の持ち主として知られており、「新しい歴史教科書をつくる会」の賛同者の一人でもあります。現代社会を「精神なき社会」として批判し、陽明学の私塾「桜下塾」を主宰しています。

政治との関わり

小泉内閣時には、竹中平蔵の盟友として活躍しました。2002年の京都府知事選では、京都商工会議所などから擁立の動きがありましたが、結局出馬を断念しています。政治家では、野中広務、伊吹文明、前原誠司などと親交があります。

教育者としての側面

京都大学経済学部では、哲学を題材にしたゼミナールを開講し、学生に旧制高校の教養教育の意義を説いていました。また、最先端の経済学を学ぶだけでなく、官庁や企業の見学、他大学とのディベートなど、実践的な教育も行っていました。

著作

吉田氏は、多くの著作を出版しており、その研究成果を社会に広く発信しています。『日本の財政金融政策』、『現代日本10の選択』、『財政赤字の経済学』など、経済学の専門書から、『桜の下の陽明学』といった思想書まで、幅広い分野で執筆活動を行っています。

人物像

吉田氏は、酒豪としても知られていましたが、近年は控えているとのことです。また、学生時代には、工学部のゼミナールで本州四国連絡橋の合理的なルートを算出する研究に取り組んでいたという逸話も残っています。

経済学、工学に加え、法学の博士号を取得する予定でしたが、高坂正堯の死により実現しませんでした。しかし、その研究内容は『安全保障の経済学』にまとめられています。

吉田和男は、幅広い分野に精通した知識人であり、日本の社会や経済のあり方について積極的に提言する論客として、今後も注目される人物です。

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