呉成

呉成（ご せい）は、明代の軍人であり、その生涯は数々の戦功に彩られています。生年は不詳ですが、宣徳8年（1434年）に亡くなっています。彼の出自は遼陽府遼陽県にあり、元王朝の遼陽行省右丞であった通伯（つうはく）の子として生まれました。当初の名前は買驢（ばりょ）といいましたが、後に呉成と改名しています。

洪武20年（1387年）、ナガチュの麾下にあった全国公観童（かんどう）が明に降伏した際、父である通伯とともに明に帰順しました。買驢はこれを機に呉成と改名し、明朝の軍人としての道を歩み始めます。総旗（そうき）として北伐に度々従軍し、その武勇を認められ、建文元年（1399年）には永平衛百戸（えいへいえいひゃっこ）に任じられます。

その後、呉成は燕王朱棣（後の永楽帝）に降ります。靖難の変（せいなんのへん）では、朱棣に従い、その戦功によって都指揮僉事（と しきしせんじ）にまで昇進しました。永楽帝が即位すると、呉成はその功績が認められ、都指揮使（としきし）に任じられます。

永楽8年（1410年）、永楽帝の漠北遠征（ばくほくえんせい）に従軍し、オノン川でオルジェイ・テムル軍と戦いました。また、アルクタイに対する遠征にも参加し、朱栄（しゅえい）の軍と合流して先鋒を務め、敵を闊湾海（かつわんかい）まで追撃しました。これらの功績によって、都督僉事（ととくせんじ）に進んでいます。その後も三度にわたり永楽帝の漠北遠征に従軍し、軍功を重ねました。

洪熙元年（1425年）には後軍左都督（こうぐんさ ととく）に進み、陽武侯薛禄（ようぶこう せつろく）に従い大松嶺（だいしょうれい）への遠征では先鋒を務め、またもや戦功を挙げました。同年7月、清平伯（せいへいはく）に封じられ、世襲の権利を与えられました。

宣徳元年（1426年）、漢王朱高煦（かんおう しゅこうく）が反乱を起こすと、呉成は楽安（らくあん）の征討に従軍し、薛禄とともに先鋒を務めました。反乱鎮圧後、興和（こうわ）に出向して守備を担当します。しかし、呉成は狩猟を好み、防備を怠ったことがありました。狩猟に出かけている間に敵が城に侵入し、妻子を拉致されるという事態が発生します。この報告を受けた宣徳帝は、呉成を処罰しませんでした。その後、アルクタイが明に朝貢した際、呉成の家族は無事に返還されました。

宣徳2年（1427年）5月、呉成は副総兵（ふくそうへい）となり、食糧輸送を護衛して開平（かいへい）へ赴きました。宣徳3年（1428年）9月には、宣徳帝の北征に従軍し、ウリャンカイ軍を寛河（かんが）で破るなどの戦果を上げました。宣徳4年（1429年）2月、清平侯（せいへいこう）に爵位を昇進させました。宣徳8年12月5日（1434年1月15日）、呉成は亡くなり、その功績を称えて渠国公（きょこくこう）の位を追贈され、諡（おくりな）として壮勇（そうゆう）が贈られました。

呉成の子である呉忠（ごちゅう）が既に亡くなっていたため、呉忠の子である呉英（ごえい）が清平伯の爵位を継承しました。

呉成の生涯は、明朝の黎明期における軍人としての活躍と、その波乱に富んだ人生を示すものとして、歴史に刻まれています。

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