唐仁古墳群

唐仁古墳群

唐仁古墳群は、鹿児島県肝属郡東串良町新川西に位置する古墳群で、国の史跡として指定されています。この古墳群は、鹿児島県内で最大規模を誇り、特に唐仁大塚古墳（唐仁1号墳）はその中心的な存在です。

概要

唐仁古墳群は、大隅半島東岸の志布志湾沿岸部、肝属川下流左岸の旧期砂丘帯に築かれました。周辺には、塚崎古墳群、岡崎古墳群、横瀬古墳・神領古墳群などの古墳群が点在し、これらと合わせて大規模な古墳群を形成しています。唐仁古墳群は、前方後円墳3基、円墳119基、その他不明なもの8基の合計130基で構成されています（2017年時点）。

特筆すべきは、1号墳である唐仁大塚古墳で、墳丘長は140メートル（一説には154メートル）に達し、鹿児島県内では最大規模を誇ります。古墳群の大部分は小規模な円墳ですが、前方後円墳は1号墳の他に16号墳と100号墳があります。これらの古墳は、古墳時代中期に築造されたと考えられ、特に1号墳（大塚）の築造をきっかけに、100号墳（役所塚）、16号墳（薬師堂塚）へと首長墓の系譜が形成されたと推測されています。また、この地域では地下式横穴墓が見られないという特徴があります。

唐仁古墳群は、志布志湾岸において、塚崎古墳群に後続し、横瀬古墳に先行する盟主的な首長墓群と位置づけられています。古墳の規模や築造数、周辺遺跡との比較を通して、古墳時代の志布志湾岸における社会構造や政治的関係を考察する上で、非常に重要な遺跡です。

遺跡歴

唐仁古墳群の調査は、1923年に瀬之口伝九郎によって報告されたことに始まります。1934年には132基が国の史跡に指定され、その後も鹿児島県教育委員会や東串良町教育委員会などによる分布調査や測量調査が継続的に行われてきました。1962年の調査では、前方後円墳4基、円墳114基が確認されました。1989年度以降は、100号墳、91号墳、1号墳、132号墳などの墳丘測量調査や遺物確認調査が実施され、1993年から1995年には圃場整備に伴う確認調査も行われました。2008年から2016年には測量調査が行われ、その結果、前方後円墳3基、円墳119基が確認されました。これらの調査により、古墳群の全体像がより詳細に把握されるようになりました。

文化財

唐仁古墳群は、1934年1月22日に国の史跡に指定されました。

関連施設

東串良町郷土研修館では、唐仁古墳群から出土した遺物などが保管・展示されており、一般公開されています。

参考文献

史跡説明板（東串良町教育委員会・東串良町文化財保護審議会、1997年設置）
「唐仁古墳群」 (PDF) （鹿児島県）
「唐仁古墳群」 (PDF) （鹿児島県上野原縄文の森）
『唐仁古墳群3 -町内遺跡発掘調査等事業に伴う測量等調査報告書-（東串良町埋蔵文化財発掘調査報告書 6）』東串良町教育委員会、2017年。
河口貞徳「唐仁古墳群」『国史大辞典』吉川弘文館。
大塚初重「唐仁古墳群」『日本古墳大辞典』東京堂出版、1989年。
「唐仁古墳群」『日本歴史地名大系 47 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。
「唐仁古墳群」『国指定史跡ガイド』講談社。

関連文献

『唐仁古墳群 -1号墳（大塚古墳）の墳丘測量-（東串良町埋蔵文化財調査報告書1）』東串良町教育委員会、1992年。
『西牟田遺跡（付唐仁132号墳）（東串良町埋蔵文化財発掘調査報告書4）』東串良町教育委員会、1993年。
『唐仁古墳群2 -堀込城跡-（東串良町埋蔵文化財発掘調査報告書5）』東串良町教育委員会、1996年。
『唐仁古墳群3 -町内遺跡発掘調査等事業に伴う測量等調査報告書-（東串良町埋蔵文化財発掘調査報告書6）』東串良町教育委員会、2017年。
『史跡 唐仁古墳群保存活用計画書 (PDF)』東串良町教育委員会、2021年。
『唐仁古墳群4 -町内遺跡発掘調査等事業に伴う測量等調査報告書-（東串良町埋蔵文化財発掘調査報告書7）』東串良町教育委員会、2021年。

関連項目

塚崎古墳群
横瀬古墳

外部リンク

* 唐仁古墳群 - 国指定文化財等データベース（文化庁）

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