国士無双 (麻雀)

国士無双（こくしむそう）

国士無双は、麻雀における役満の一つです。略称は「国士」。別名「十三么九（シーサンヤオチュー）」とも呼ばれ、1～9の数字牌と字牌（風牌、三元牌）からなる么九牌13種類を、それぞれ1枚ずつ揃え、その中から1種類を雀頭とした和了形です。

国士無双の特徴

国士無双は、七対子と同様に面子の概念を持たない特殊な役で、門前役です。4面子1雀頭の形に当てはまらないため、高目・安目の区別がなく、天和、地和、人和を除く他の役満とは複合しません。

成立の難易度は役満の中でも比較的容易とされ、多くのプレイヤーが経験しているでしょう。配牌に含まれる么九牌の数が多いほど、成立の可能性が高まります。そのため、九種九牌で流局できる状況でも、あえて国士無双を狙うプレイヤーもいます。

しかし、中張牌を積極的に捨てていくため、国士無双を狙っていることは相手プレイヤーに気づかれやすく、警戒される可能性があります。和了できるかどうかは、ツモとゲーム展開に大きく依存します。

途中で必要な么九牌が場に出切ったり、槓されたりした場合、あるいは終盤までテンパイに持ち込めなかった場合は、通常の面子手への移行が困難になります。比較的移行しやすいのは役牌、混老頭、混全帯么九、七対子などです。ただし、相手プレイヤーがリーチした場合、国士無双を諦めればベタオリ（何もせずに流局まで待つ）しやすいというメリットもあります。ただし、ベタオリを見越して字牌単騎待ちで狙われるリスクも考慮する必要があります。

聴牌すればリーチも可能ですが、得点が大きく上がるわけではなく、ベタオリができなくなるため、メリットはほとんどありません。しかし、リーチすることで相手プレイヤーに国士無双を狙っていると悟られないようにし、么九牌を切らせるという戦術もあります。

テンパイ形

国士無双のテンパイ形は、牌理上157種類に限定されます。大きく分けて2つのパターンがあります。

1. 既に雀頭ができている場合：足りない1種類の么九牌を待つ形になります。
2. 13枚の么九牌が全て揃っている場合：雀頭となる牌を待つ13面待ち（13種39牌待ち）となります。この場合を「国士無双十三面待ち」または「純正国士無双」と呼びます。

通常は1種待ちですが、最大で1種4牌待ちとなります。待ち方には正式名称がなく、「国士無双○○待ち」と呼ばれます（○○には足りない牌の名称が入ります）。

国士無双は、字牌のラス牌（場に3枚出て1枚しか残っていない牌）で和了できる唯一の役であり、字牌の加槓を搶槓できる唯一の役でもあります。

暗槓の搶槓

通常のメンツ手では、暗槓に対してロンを宣言できません。しかし、国士無双の1面待ちの場合、加槓（小明槓）だけでなく暗槓に対しても、搶槓によるロン和了を認めるルールがあります。これは、滅多に起こらないケースですが、事前に確認しておきましょう。

国士無双十三面待ち

非常に稀に、么九牌の対子が1つもできず、13面待ちになることがあります。この状態では、どの么九牌でも和了可能です。この状態を「国士無双十三面待ち」または「純正国士無双」と呼び、ダブル役満とするルールもあります。かつては、この13面待ちのみが役満とされていた時期もありました。配牌時に完成していたものを「十三龍門（シーサンロンメン）」と呼ぶこともあります。

国士13面待ちをダブル役満とする場合、通常の国士1面待ちからのツモ和了を蹴って、フリテン（相手の捨て牌を見てから和了）13面待ちに受け替える戦略もあります。次のツモ牌が么九牌である確率は約1/3（13/34）であり、残り巡目が多ければ多いほど期待値は高まります。しかし、ツモれずに他家和了や流局になるリスクも伴います。

現物以外でのフリテンロン和了

通常、フリテンではロン和了できません。しかし、かつては国士無双の13面待ちの場合、現物以外の牌であればフリテンロン和了を認めるルールがありました。現在ではこのルールは廃れており、フリテン13面待ちのロン和了は不可とするルールブックもあります。

名称の由来

もともとは「十三么九」と呼ばれていました。「国士無双」は雅名で、「国士」は国で最も優れた人物、「無双」は並ぶ者がないという意味です。語源は、史記・淮陰侯列伝にある韓信の才能を評した言葉とされています。中国麻雀では「十三么」と呼ばれ、英語圏では「Thirteen Orphans」と呼ばれています。

歴史

国士無双は、初期の定義とは大きく異なっていました。当初は、配牌13枚で刻子、槓子、順子、対子、搭子が一切ない状態で、全ての牌が么九牌であるという条件で和了できました。雀頭は不要でした。その後、雀頭が必要となり、チー、ポン、カンがない純粋な第1巡目以内の13面待ちのみが許されました。現在では待ち方も不問となっています。