国鉄7100形蒸気機関車

7100形蒸気機関車

7100形は、かつて鉄道院、鉄道省に在籍したテンダー式蒸気機関車です。1880年（明治13年）の北海道初の鉄道である官営幌内鉄道の開業にあたり、アメリカ合衆国から輸入されました。

概要

ピッツバーグのH. K. ポーター社で、以下の8両が製造されました。

1880年（2両）: 1, 2（製造番号368, 369）
1882年（2両）: 3, 4（製造番号487, 488）
1884年（1両）: 5（製造番号643）
1885年（1両）: 6（製造番号672）
* 1889年（2両）: 9, 10（製造番号1009, 1010）

官営幌内鉄道は1889年に北海道炭礦鉄道に譲渡されましたが、1906年（明治39年）に鉄道国有法により買収・国有化され、全車が官設鉄道に編入されています。

この機関車は番号の他に歴史上の人物にちなんだ愛称を付されていることでも知られています。1 - 6には番号順に、「義經」「辨慶」「比羅夫」「光圀」「信廣」「しづか」と命名されています。

西部劇に出てくるようなアメリカの古典的スタイルの機関車で、その愛称とともに日本の古典蒸気機関車の代表格として親しまれています。

構造

動輪直径は914mm、車軸配置2-6-0(1C)で2気筒単式の飽和式テンダー機関車です。弁装置はスティーブンソン式で、弁室をシリンダ上部に設置したアメリカ形です。

3つの動輪のうち真ん中の動輪にはフランジがありません。

テンダー（炭水車）は2軸のボギー台車を2つつけた4軸のもので、側面に愛称名が漢字で大書されていました。

典型的なアメリカ古典機スタイルで、前端梁に取り付けられたカウキャッチャーや大型のダイヤモンドスタックを取り付けた煙突、大型の油灯式前照灯、第1缶胴上に設けられたベル、木製の運転室などが特徴的です。

ボイラーには、第2缶胴上に砂箱、ワゴントップ型の火室上に蒸気ドームが設けられています。

1880年に輸入された2両には、ウェスティングハウス・エア・ブレーキ製空気ブレーキが装備されており、客車とともに貫通制動ができるようになっていました。標準装備されていた自動連結器とともに、本形式の先進的な部分です。

運転・経歴

1880年11月28日、手宮駅 - 札幌駅間が開業し、1「義經」と2「辨慶」の使用が開始されました。翌1881年8月30日には、明治天皇がこの区間に乗車し、「義經」が9両編成のお召し列車を牽引しています。

1882年11月13日には札幌 - 幌内間が延伸開業し、3「比羅夫」と4「光圀」が増備されています。その後、5「信廣」と6「しづか」が増備されました。

1889年12月10日、幌内鉄道は北海道炭礦鉄道に払下げられ、本形式も同社に引き継がれました。北海道炭礦鉄道ではA形（1 - 8）、後にイ形としました。

北海道炭礦鉄道では、煙室の延長やダイヤモンド形煙突のパイプ形への交換、カウキャッチャーの撤去などの改造が行なわれ、原形が損なわれていきました。

1906年10月1日、北海道炭礦鉄道は買収・国有化され、官設鉄道に編入されました。1909年には、鉄道院の車両称号規程が制定され、7100形（7100 - 7107）に改められました。

1915年には粘着力の増大を図るため、先輪を撤去する改造を函館工場で施行されましたが、蛇行動がひどくなり、すぐに復旧されています。

その後、1917年に7106が廃車され、日本製鋼所室蘭製作所に売却されたのを皮切りに、順次廃車が進みました。7101は保存のため東京に送られた後の1924年に廃車となっています。

保存

東京へ送られた7101

1922年、北海道の1号機関車である「義經」を東京に新設される鉄道博物館に保存することとなり、7101が「義經」の後身であると推定され、1923年8月に同館に送られました。しかし、関東大震災により東京入りできず、黒磯駅構内の機関庫に10年以上も保管されることとなりました。

1936年、7101は大宮工場で「義經」として復元されることとなりましたが、島崎英一と川上幸義の調査により7101は「辨慶」として復元されることとなりました。1940年に復元が完成し、交通博物館に収蔵、静態保存されました。交通博物館閉館後は、鉄道博物館に移され、展示されています。

北海道での初期の動き

一方、北海道では2号機関車である「辨慶」を札幌で保存しようということになりました。

1952年に復元された「義經」と「しづか」

1952年は鉄道開通80周年の年であり、鷹取工場では「義經」を復元することになりました。また、日本製鋼所室蘭製作所で不要となった7106が国鉄に引き渡され、苗穂工場で「しづか」として復元されました。

「義經」は交通科学博物館に可動状態で保存展示され、梅小路蒸気機関車館のSLスチーム号として運転されました。

「義經」と「しづか」は、1968年、1980年、2002年の3度、北海道鉄道記念館で再会を果たしています。

車番に関する論争

本形式の車両銘板記載の製造番号に基づく車番論争が存在します。

その他

小浜線の若狭本郷駅には、「義経」のレプリカが設置されています。

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