土宮

土宮（つちのみや）

土宮は三重県伊勢市豊川町に存在する伊勢神宮豊受大神宮（外宮）の境内にある別宮です。別宮とは、正宮に次ぎ、特に重要とされる神社を指します。土宮は外宮正宮の南側、檜尾山の麓に位置し、厳かな雰囲気に包まれた場所です。2015年1月28日には、第62回神宮式年遷宮に際して遷御の儀が執り行われ、その重要性が再確認されました。

概要

土宮は、外宮の別宮の一つで、多賀宮や風宮に並び、特に古い歴史を持っています。昔から、外宮を参拝する際は多賀宮、土宮、風宮と順に参ることが習わしとされています。正宮前にある池の横には、亀石と呼ばれる石があり、これは高倉山の天岩戸の入り口から運ばれたと伝えられています。土宮の向かい側には、外宮所管社の下御井神社があります。

祭神

土宮には、外宮が位置する山田の原の地主の神である大土乃御祖神が祀られています。歴史的な文献である『神名秘書』には、大歳神、宇迦魂神、土御祖神といった神々が土宮に関わるとされています。神体は、大歳神と土御祖神が鏡、宇迦魂神が宝壺とされていることも、文献に記載されています。

歴史

土宮の記録は997年に遡り、『長徳検録』にその名前が見られます。この時期、特に农業に関連する神社が注目される中、土宮も重要な位置を占めていたと考えられます。1128年には、宮川の氾濫を鎮めるために土御祖神への信仰が高まり、土宮として別宮に昇格しました。この経緯は、土宮の発展を物語っています。

祭事

土宮では、皇大神宮に準じた様々な祭事が行われます。祈年祭、月次祭、神嘗祭、新嘗祭といった典礼には皇室からの幣帛が贈られ、別宮に昇格してからこれが行われるようになりました。皇室の勅使は、正宮と多賀宮のみに参行し、土宮自体には訪れない特徴があります。

式年遷宮

2014年から2015年にかけて行われた第62回式年遷宮では、様々な祭事が執り行われました。立柱祭や上棟祭、御戸祭、遷御の儀が行われ、神聖な瞬間が数多くの人々によって見守られました。

社殿

土宮の社殿は、外宮の伝統に準じた神明造の様式を持ち、急勾配の屋根や独特な千木を特徴とします。社殿は通常は南向きですが、土宮は東向きである点が特異です。この点に関しては、南面にする提案もあったものの、従来の姿が守られました。さらに、土宮は別宮でありながら鳥居を持つ特異な存在でもあります。

交通

土宮へのアクセスは、JR参宮線と近鉄の伊勢市駅が最寄りの駅となります。また、三重交通の外宮前バス停や伊勢自動車道の伊勢西インターチェンジも近隣にあり、訪れやすい場所となっています。無料駐車場も完備されているため、車で訪れることも可能です。

参考文献

• - 桜井勝之進『伊勢神宮』
• - 桜井勝之進『伊勢の大神の宮』
• - 三橋健『伊勢神宮 日本人は何を祈ってきたのか』

土宮は、伊勢神宮の中でも特に敬われている神社の一つであり、その歴史や祭事を通じて多くの人々に信仰されています。

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