坂元町 (鹿児島市)

鹿児島市坂元町の詳細

坂元町は、鹿児島市北部に位置し、稲荷川中流域に広がる町です。この地域は、北と南に飛び地を持つ特徴的な地形をしており、東坂元、下竜尾町、池之上町、玉里団地、若葉町、下伊敷町といった周辺の町と隣接しています。

地理と交通

町の中央部を鹿児島県道25号鹿児島蒲生線が南北に走り、交通の要所となっています。また、鹿児島県道208号坂元伊敷線が北西方向に分岐しており、地域の交通網を形成しています。主要な河川としては稲荷川が町内を流れています。

歴史

坂元町の歴史は古く、室町時代には「坂元」または「坂本」という地名が確認できます。中世には矢上氏や長谷場氏といった豪族がこの地を拠点としていました。特に矢上氏が拠った催馬楽城は、戦国時代の歴史を語る上で重要な場所です。

江戸時代に入ると、坂元村は鹿児島近在の一部として、その名を歴史に刻みました。この頃、島津重豪によって藩校造士館と武芸稽古場が設置され、文武両道の地としての歴史を歩みました。明治初期には、下田村を編入しましたが、その後再び分立しました。また、坂元村の一部が稲荷馬場町、春日小路町、清水馬場町として分割されました。

1889年（明治22年）の町村制施行により、坂元村は周辺の村々と合併して吉野村の一部となり、大字坂元となりました。1934年（昭和9年）には、吉野村が鹿児島市に編入され、旧坂元村の区域は「坂元町」となりました。

その後の発展

昭和中期以降、坂元町は住宅地としての開発が進められました。1970年代には県警察学校が設置され（後に移転）、1978年には玉里団地地区で住居表示が実施され、町域の再編が行われました。1980年代には、冷水・玉里地区や上之原団地、辻ヶ丘団地、催馬楽団地でも住居表示が実施され、町域が細分化されるとともに、西坂元町や東坂元といった新たな町が誕生しました。

町名の由来

「薩隅日地理纂考」によると、坂元町の地名は、島津忠久が薩摩へ下向する際、近江国の日吉大社を勧請したことに由来するとされています。日吉大社の所在地である近江国坂本村（現在の滋賀県大津市坂本）にちなんで「坂元」と名付けられたと伝えられています。

現在の坂元町

現在の坂元町は、住宅地としてだけでなく、鹿児島市営坂元墓地や鹿児島坂元郵便局などの公共施設も有しています。また、周辺には鹿児島市立の小中学校があり、子どもたちが学んでいます。

人口

2020年10月1日現在、坂元町の人口は3,526人、世帯数は1,511世帯となっています。

参考文献

鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅰ』
鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅱ』
南日本新聞『鹿児島市史Ⅳ』
南日本新聞『鹿児島市史Ⅴ』
「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県』
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』
* 木脇栄『かごしま市史こばなし』

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