坪野鎌之

坪野鎌之：東宝特撮映画を彩った名脇役

坪野鎌之（つぼのかまゆき、1919年7月26日生まれ、没年不詳）は、日本の元俳優である。愛称は「ツボカマさん」。東宝専属俳優として活躍し、三船プロダクションにも所属していた。

彼のキャリアは、特撮映画から三船敏郎主演作品まで、実に多岐にわたる。時代劇から現代劇まで、ジャンルを問わず数多くの映画に出演し、作品に深みと彩りを添えた。

坪野鎌之の演技の特徴は、なんといってもそのコミカルな表現力と巧みなセリフ回しにある。端役であっても、彼の存在感は際立っており、観客に強い印象を残した。その卓越した演技は、多くの監督や共演者から高い評価を得ていたと伝えられる。

特に、ゴジラシリーズへの出演は、彼の代表作として広く知られている。シリーズを通して様々な役柄を演じ分け、その演技は作品の世界観を豊かに彩った。海上保安庁の係官、新聞記者、警察官、船員、島民など、多様な役柄をこなすその姿は、まさに名脇役と呼ぶにふさわしい。

彼の出演作品はゴジラシリーズにとどまらず、数多くの東宝特撮映画にも及ぶ。怪獣映画以外にも、時代劇、社会派ドラマ、コメディなど幅広いジャンルの作品に出演している。代表的な作品として、『七人の侍』、『透明人間』、『空の大怪獣ラドン』、『蜘蛛巣城』、『地球防衛軍』、『美女と液体人間』、『ガス人間第一号』、『宇宙大戦争』、『日本誕生』など、枚挙にいとまがない。

さらに、三船敏郎主演作品への出演も多数あり、三船プロダクション作品にも貢献している。その幅広い演技力は、彼の高いプロ意識と実力を物語っているといえるだろう。

1971年以降、映画出演の記録は見られない。晩年の消息は不明な点が多いが、彼の残した数多くの作品は、現在もなお人々の記憶に刻まれている。

主な出演作品

ゴジラシリーズ: 『ゴジラ』（1954年）、『ゴジラの逆襲』（1955年）、『キングコング対[[ゴジラ]]』（1962年）、『モスラ対ゴジラ』（1964年）、『三大怪獣 地球最大の決戦』（1964年）、『怪獣大戦争』（1965年）、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』（1966年）、『怪獣総進撃』（1968年）、『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』（1969年）など多数
その他東宝特撮映画: 『七人の侍』（1954年）、『透明人間』（1954年）、『獣人雪男』（1955年）、『空の大怪獣ラドン』（1956年）、『蜘蛛巣城』（1957年）、『地球防衛軍』（1957年）、『美女と液体人間』（1958年）、『ガス人間第一号』（1960年）、『宇宙大戦争』（1959年）、『日本誕生』（1959年）、『海底軍艦』（1963年）、『宇宙大怪獣ドゴラ』（1964年）、『フランケンシュタイン対地底怪獣』（1965年）、『キングコングの逆襲』（1967年）、『連合艦隊司令長官 山本五十六』（1968年）、『日本海大海戦』（1969年）、『クレージーの大爆発』（1969年）、『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』（1970年）など多数
ウルトラシリーズ: 『ウルトラQ』、『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』、『帰ってきたウルトラマン』、『快獣ブースカ』
その他: 『夫婦善哉』（1955年）、『密告者は誰か』（1958年）、『私は貝になりたい』（1959年）、『独立愚連隊西へ』（1960年）、『大坂城物語』（1961年）、『情無用の罠』（1961年）、『南の風と波』（1961年）、『モスラ』（1961年）、『トイレット部長』（1961年）、『世界大戦争』（1961年）、『妖星ゴラス』（1962年）、『太平洋の翼』（1963年）、『君も出世ができる』（1964年）、『ここから始まる』（1965年）、『太平洋奇跡の作戦 キスカ』（1965年）、『けものみち』（1965年）、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』（1966年）、『激動の昭和史 軍閥』（1970年）、『激動の昭和史 沖縄決戦』（1971年）、『昔三九郎』、『大忠臣蔵』（1971年）など多数

坪野鎌之は、その卓越した演技力と幅広い役柄で、日本の映画史に名を残す俳優の一人である。彼の存在は、日本の映画、特に東宝特撮映画の歴史において、決して無視できないものだと言えるだろう。

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