壮烈第七騎兵隊

『壮烈第七騎兵隊』（原題：They Died with Their Boots On）は、1941年にアメリカで公開された西部劇映画です。ラオール・ウォルシュが監督を務め、エロール・フリンがジョージ・アームストロング・カスター将軍を、オリヴィア・デ・ハヴィランドがカスターの妻リビーを演じました。ウォーリー・クラインとイーニアス・マッケンジーが脚本を手掛けました。

概要

この映画は、実在の人物であるカスター将軍の生涯を、陸軍士官学校入学から南北戦争、そして悲劇的なリトルビッグホーンの戦いまでを、大胆な脚色を加えて描いています。史実とは異なる描写が多く見られ、特にクレイジー・ホースとの戦いについては、土地利権を巡る政治家と企業の陰謀が背景にあるというフィクションが加えられています。カスターはインディアンに土地を譲ろうとしていたという設定も史実とは異なります。

しかし、そのドラマチックな展開と、フリンとデ・ハヴィランドの魅力的な共演が観客を魅了し、1941年の全米興行収入でトップを記録しました。この作品は、フリンとデ・ハヴィランドの8作目の共演作であり、最後の共演作でもありました。また、ウォルシュ監督とフリンが初めてタッグを組んだ作品でもあります。

1990年代には、フリン主演の『シー・ホーク』などと共にカラーライズ版が制作され、1998年にはVHSとして発売されました。その後DVD化されるまで、オリジナルの白黒版はソフト化されませんでした。

あらすじ

ジョージ・カスターは、名誉を得て歴史に名を刻むことを夢見て陸軍士官学校に入学します。しかし、入学初日にトラブルを起こし、教官のテイプ少佐や同期のシャープから目をつけられてしまいます。馬術と剣術の成績は優秀でしたが、その他の科目は芳しくなく、規則違反を繰り返したため、最下位で卒業することになります。その頃、南北戦争が勃発し、南部出身の学生たちがアメリカ連合国に戻り、北軍は人員不足に陥ります。校長のシェリダン大佐は、テイプの反対を押し切り、カスターを卒業させてワシントンD.C.に向かわせます。

ワシントンに到着したカスターは、配属先が決まらずに3週間も待たされます。配属先を決める担当が、総司令官スコット将軍の副官となっていたテイプだったためです。カスターはレストランでスコット将軍と出会い、士官学校時代の成績不良者同士で意気投合し、念願の第2騎兵隊への配属を許可されます。しかし、テイプは「馬が用意できていない」と拒否しますが、カスターはテイプの馬を奪って任地に向かいます。

カスターは部隊を率いて南軍に戦いを挑みますが、上官のシャープから撤退を命じられ、これに反発して突撃を命じ、南軍を撃破します。負傷したカスターは病院に送られますが、シェリダンから勲章を授与され、リビーの父への紹介状を受け取って彼女の元へ向かいます。そこでリビーと再会し、後に将来の結婚を誓い合います。その後、テイプはカスターを呼び戻そうとしますが、手違いで騎兵旅団の司令官に任命する命令書を送ってしまいます。

将軍になったカスターは、旅団を率いてゲティスバーグの戦いで南軍を撃破し、北軍の英雄となります。終戦後、リビーと結婚しますが、張り合いのない日々を送ります。リビーは夫を元気にするために、スコットに現役復帰を願い出ます。その後、カスターは第7騎兵隊指揮官への着任命令を受け、現役復帰します。その途中でスー族の襲撃を受けますが、これを撃退し、首長のクレイジー・ホースを捕虜にします。

駐屯地に到着したカスターは、隊員たちが堕落していることに憤慨し、彼らを叱責します。さらに、隊員を相手に商売をするシャープの酒場を閉店させます。カスターは隊員たちを鍛え直し、脱走したクレイジー・ホースとの戦いに勝利します。クレイジー・ホースは和平を申し出て、聖地であるブラックヒルズ以外の土地を放棄し、アメリカ政府と条約を締結します。

ブラックヒルズを手に入れたい鉄道会社は、邪魔な存在であるカスターを追い出すために、社員のシャープと政府委員となっていたテイプと結託して彼を罠にはめます。隊員たちは泥酔して閲兵式を台無しにし、カスターはシャープとテイプを殴ってしまい解任されます。その後、リビーから「ブラックヒルズに金鉱が見つかった」という記事を見せられたカスターは、シャープたちがブラックヒルズを狙っていることを知り告発しますが、委員会によって退けられます。

条約を反故にされたクレイジー・ホースは怒り、各部族を集めて戦いを始めます。カスターはグラント大統領に直訴して指揮官に復帰し、リビーとの別れを交わしてリトルビッグホーンの戦いに出発します。シャープもカスターの言葉に心を動かされ騎兵隊に残ることを決意しますが、激戦の末にカスターはクレイジー・ホースに倒されます。

カスターの死後、シェリダンとリビーはカスターの遺書を手に、テイプと鉄道会社の陰謀を告発し、彼らに責任を取らせます。カスターの意志を実現させたリビーに対し、シェリダンは「彼は最後の戦いに勝利した」と語ります。

キャスト

エロール・フリン - ジョージ・アームストロング・カスター（中村正）
オリヴィア・デ・ハヴィランド - エリザベス・"リビー"・ベーコン（池田昌子）
アーサー・ケネディ - ネッド・シャープ（家弓家正）
チャーリー・グレイプウィン - カリフォルニア・ジョー（永井一郎）
ジーン・ロックハート - サミュエル・ベーコン
アンソニー・クイン - クレイジー・ホース（小林清志）
ジョージ・P・ハントレー・ジュニア - バトラー中尉
スタンレー・リッジス - ロームルス・テイプ少佐
ジョン・ライテル - フィリップ・シェリダン大将
ウォルター・ハムデン - ウィリアム・シャープ
シドニー・グリーンストリート - ウィンフィールド・スコット中将
レジス・トゥーミー - フィッツヒュー・リー
ハティ・マクダニエル - キャリー
マイナー・ワトソン - スミス議員
ジョゼフ・クレハン - ユリシーズ・グラント大統領
その他：大木民夫、島宇志夫

制作

本作は、同じくエロール・フリンとオリヴィア・デ・ハヴィランドが共演し、カスター将軍が登場する1940年の映画『カンサス騎兵隊』と混同されることがあります。撮影中には3人の死者が出ており、その中には爆発シーンで落馬した際に本物の軍刀が体を貫いた俳優も含まれます。

「カスター最後の戦い」の場面は、予算やスケジュールの都合により、実際の古戦場ではなくロサンゼルス郊外で撮影されました。アンソニー・クインが演じたクレイジー・ホースは、本作で唯一役名のあるインディアンであり、またクインは数少ない先住民族の血を引く俳優でした。

サウンドトラック

音楽はマックス・スタイナーが担当しました。カスターが愛したアイルランド民謡『ギャリーオーウェン』も作中で使用されました。この曲は後に他の西部劇映画にも流用されました。

評価

本作はアメリカでの配給収入が$1,871,000を記録し、ワーナー・ブラザースの1941年度公開作品の中で2番目の大ヒットとなりました。

脚注

外部リンク

壮烈第七騎兵隊 - allcinema
壮烈第七騎兵隊 - KINENOTE
They Died with Their Boots On - オールムービー（英語）
They Died with Their Boots On - IMDb（英語）
壮烈第七騎兵隊 - TCM Movie Database（英語）
They Died with Their Boots On - American Film Institute Catalog（英語）

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