夏侯蘭

夏侯蘭（かこう らん）

夏侯蘭は、中国後漢時代末期に活躍した武将で、劉備の部下として知られています。彼は冀州常山国真定県、現在の河北省石家荘市正定県の出身で、同じくこの地域の出身である蜀漢の将軍、趙雲と古くからの知り合いです。対照的に、彼の姓は曹操配下の夏侯惇と同じですが、彼らの血縁関係は不明です。

事跡

正史『三国志』の本文では夏侯蘭については記載が無いものの、蜀書の「趙雲伝」において裴松之が記した注釈には彼の事跡が示されています。ここによれば、劉備が荊州の劉表に保護を求めていた際、夏侯惇は劉備に対する攻撃を計画し、夏侯蘭もそれに従軍しました。

しかし、博望坡の戦いで夏侯惇軍は劉備軍に敗れ、夏侯蘭は捕らえられてしまいました。この際、彼と趙雲は同郷の友人であったため、趙雲は劉備に対し夏侯蘭の助命を嘆願しました。夏侯蘭は法律に通じていたため、趙雲は彼を軍正として任用することを提案しました。

その後、夏侯蘭は新たな地位を得るものの、趙雲は彼が降将であることを考慮して、親しくなることは避けたようです。

三国志演義

小説『三国志演義』の中では、夏侯蘭は夏侯惇の副将として描かれています。物語りの中で、彼は博望へ向かう道中、諸葛亮の策略に嵌まって夏侯惇が大敗を喫した際、韓浩と共に糧秣を守るために奮闘します。しかし、その途中で張飛と遭遇し、数度の戦闘の末、夏侯蘭は張飛の一撃を受け、馬から落とされてしまいます。

関連作品

近年の作品に対しても触れておきます。2023年に公開された映画『三国志 武神・趙雲伝』では、若き日の趙雲が主題となっています。この作品では、趙雲と夏侯蘭が共に村の治安を守るために山賊を退治する様子が描かれていますが、村人が皆殺しにされる悲劇が起こり、二人は主犯である王太守に復讐を誓います。

夏侯蘭という人物は、歴史の記述には乏しいものの、その背後にある人間関係や兵の戦の厳しさを通じて、三国時代の複雑な人間ドラマの一端を知ることができる存在であるのです。

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