大伴馬来田

大伴馬来田の生涯と業績

概要

大伴馬来田（おおとも の まくた）は、飛鳥時代に活躍した著名な政治家であり、軍人でした。彼の名前は望多または望陀とも書かれ、房総地方（馬来田村や望陀郡）との関係があるとの指摘があります。彼の姓は連であり、父は大伴咋で、贈位として大紫を受けました。

壬申の乱

馬来田は兄の長徳が孝徳天皇に仕え重職にあったものの、白雉2年（651年）に兄が亡くなった後は不遇な時代が続きました。壬申の乱の前に彼は病気を理由に都を離れ、弟の吹負と共に大和国の自宅に控えていました。彼は次の天皇が大海人皇子（後の天武天皇）であると信じ、その決断を見込んでいました。

乱の最中の6月24日、大海人皇子が挙兵を決意すると、馬来田は彼に味方することを決断します。弟の吹負は大和に留まり同志の募集中に、馬来田は吉野宮へ向かいましたが、既に皇子は去った後でした。そこで、馬来田は黄書大伴と共に皇子を追い、昼間のうちに大和国宇陀郡の吾城で追いつきました。確かに詳細は『日本書紀』に記されていませんが、黄書大伴は馬来田に大海人皇子の出征を知らせた人物であると考えられます。

なお、吹負は大和方面での将軍として大いに活躍しましたが、馬来田の軍功は記録に残っていないため、彼が戦場に出なかった可能性が高いです。恐らく、彼は後方支援をしながら大海人皇子を助けていたと推測されます。

天武朝

戦後、馬来田はその功績により100戸を封じられ、これは『続日本紀』に記されています。しかし、壬申の乱で大海人皇子に味方した他の氏族と異なり、彼の名は天武朝の事績に登場しません。このことは、彼が大伴氏を率いる位置にあったにも関わらず、難解な立場にあったことを示しています。

『公卿補任』や『一代要記』には、大伴望陀連が天武天皇の大納言と記されていますが、これらは平安時代以降に記されたものであり、当時の納言についての詳細も不明です。大伴馬来田は天武天皇12年（683年）に亡くなり、天皇はその死を惜しみ、彼の勲功を称え、泊瀬王を遣わして弔問しました。彼に対し従って贈位として大紫が与えられ、厚い礼遇をもって葬られました。

系譜

大伴馬来田の家族については父が大伴咋で、母については不詳ですが、彼の残した子供には大伴道足がいます。道足の生涯については詳細が不明ですが、彼もまた大伴氏の名を歴史に残す人物であったことでしょう。

参考文献

• - 北山茂夫『天武朝』、中央公論社（中公新書）、1978年。
• - 田中卓「壬申の乱と大伴氏」、『田中卓著作集』5、国書刊行会、1985年。初出は『歴史教育』2巻5号、1954年5月。
• - 星野良作「壬申の乱と大伴連氏」、『壬申の乱研究の展開』（吉川弘文館、1997年）所収。ISBN 4-642-02316-X

このように、大伴馬来田の人生は壬申の乱を通じて大きな影響を与え、彼の功績は後世に評価されるものでした。

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