大住三行

大住三行（おおすみ の みゆき）

大住三行は、奈良時代に活躍した人物で、生没年は不詳です。姓は忌寸（いみき）であり、官位は外従五位上、役職は隼人正（はやとのしょう）を務めました。大隅（おおすみ）氏とも表記されます。

出自

大住氏は、大隅国（現在の鹿児島県東部）の大隅郡を拠点とした豪族です。元々の姓は直（あたい）でしたが、天武天皇が制定した八色の姓（やくさのかばね）により、畿内へ移住した一族が忌寸を賜りました。

『新撰姓氏録』によると、大住氏は火闌降命（ほのすそりのみこと）の子孫であるとされています。大住一族は、山城国綴喜郡大住郷（現在の京都府京田辺市）を中心に勢力を拡大しました。奈良時代には、「大住忌寸足人（おおすみ の いみき の たりひと）」や「大住忌寸山守（おおすみ の いみき の やまもり）」といった人物が記録に残っています。

経歴

大住三行は、称徳天皇の時代である神護景雲3年（767年）11月に、大隅国と薩摩国（現在の鹿児島県西部）の隼人たちが天皇の前で伝統的な技芸（俗伎）を披露した際、その功績によって他の隼人とともに位階を授けられました。この時、正六位上から外従五位下へ昇叙されています。

その後、光仁天皇の時代である宝亀6年（775年）4月には、檜前舎人建麻呂（ひのくまのとねり の たけまろ）の後任として隼人正に任命されました。さらに翌年の宝亀7年（776年）には、再び光仁天皇の前で俗伎を披露し、その功績により外従五位上に昇進しました。

官歴

以下は、『続日本紀』に記載されている大住三行の官歴です。

時期不詳：上正六位上
神護景雲3年（769年）11月26日：外従五位下
宝亀6年（775年）4月8日：隼人正
宝亀7年（776年）2月10日：外従五位上


大住三行は、隼人としての技能を活かし、朝廷での地位を築いた人物でした。

脚注

隼人（はやと）：古代の南九州に居住していた人々で、朝廷に貢物を献上したり、宮廷儀式で歌舞を披露したりする役割を担っていました。
俗伎（くにぶりのわざ）：隼人たちが伝承してきた歌舞や技能のことです。

参考文献

『続日本紀』4 新日本古典文学大系15 岩波書店、1995年
『続日本紀』5 新日本古典文学大系16 岩波書店、1998年
宇治谷孟訳『続日本紀 （中）・（下）』講談社学術文庫、1992年・1995年
『日本古代人名辞典』2 - 332頁、竹内理三・山田英雄・平野邦雄編、吉川弘文館、1959年
『日本古代氏族事典』【新装版】佐伯有清：編109頁、雄山閣、2015年

関連項目

隼人舞

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