大翔山直樹

大翔山直樹（だいしょうやま なおき）

大翔山直樹は、1966年7月7日生まれ、石川県鳳至郡穴水町出身の元大相撲力士です。本名を山崎直樹といい、立浪部屋に所属していました。現役時代の体格は身長181cm、体重181kg。血液型はB型です。得意手は右四つ、寄り、下手投げでした。最高位は東前頭2枚目（1991年7月場所）で、現在は年寄・追手風として追手風部屋の師匠を務めています。

アマチュア相撲での活躍と立浪部屋への入門

金沢高校時代にはインターハイで準優勝、日本大学に進学後、3年時にアマチュア[[横綱]]、4年時には学生[[横綱]]を獲得するなど、アマチュア相撲界で輝かしい実績を残しました。各部屋による争奪戦の末、同郷の中川親方（元前2・清惠波）の引退後の身分保証が決め手となり、清惠波が部屋付きだった立浪部屋に入門しました。この入門は、双羽黒の廃業後、低迷していた立浪部屋の勢いを盛り返す原動力となり、後に日大の同窓生である大翔鳳や智ノ花の入門にも繋がりました。また、この時の経緯から、藤島部屋の力士からは激しい憎悪を抱かれ、対戦時には特別な闘志を燃やして戦ったという逸話も残っています。

四股名「大翔山」の誕生

新十両昇進時に、本名の「山崎」から改名することになりました。部屋の十両格行司・木村城之介（後の35代木村庄之助）が「大翔山」と「天翔鳳」を改名候補として挙げましたが、立浪親方（関脇・安念山）は「大翔山」を選びました。当初、読みを「おおしょうやま」としようとしましたが、語呂の悪さから城之介が「だいしょうやま」を提案し、この四股名が誕生しました。ちなみに、「天翔鳳」はアレンジされ、弟弟子・村田の四股名（大翔鳳）となりました。

力士としての特徴と苦悩

右半身から腰の重さを生かした下手投げを得意としていましたが、腰への負担が大きく、腰痛が持病となっていました。そのため、左からの攻めを早くするよう指導されましたが、右半身の癖は直りませんでした。元横綱・輪島とは高校と大学が同じであることから、輪島と同様の技術指導を受け、類似した型を身に付けました。1993年初場所では、13日目を終えて11勝2敗で曙と並んで優勝争いのトップに立つ活躍を見せました。しかし、三役への昇進は叶わず、1995年11月場所を最後に29歳で引退しました。

引退後と追手風部屋の再興

引退した1995年には、追手風親方（元前頭6・追風山）の長女と結婚し、清惠波から名跡を譲り受けて年寄・中川を襲名しました。1997年には義父（追風山）とともに友綱部屋に移籍し、1998年には義父の所属部屋（追手風部屋）再興のため名跡を交換し、年寄・追手風として友綱部屋から独立、追手風部屋を33年ぶりに復興させました。立浪部屋を離れる年寄が続出した背景には、年齢や最高位で7代立浪を上回る年寄が部屋にいると、7代立浪がやりにくいという理由があったとされています。

師匠としての活動

師匠としては、自身（身長182cm・体重186kg）とは対照的に、均整の取れた体格の力士を中心に育てています。現在までに幕内力士を10人（関脇・追風海、前頭11枚目・濵錦、小結・黒海、小結・遠藤、関脇・大栄翔、前頭5枚目・大翔丸、前頭7枚目・剣翔、前頭11枚目・大奄美、前頭9枚目・大翔鵬、小結・翔猿）輩出しています。小学生時代の作文に実業家としての夢を書いていたことがテレビ番組で明かされたこともあります。日本相撲協会の業務では、2007年3月場所から審判委員に就任し、2015年1月場所まで務めていました。審判を務めていた時期の末期は体調不良に悩まされ、2014年9月場所と11月場所を途中休場しました。

暴力事件と裁判

2009年7月には、同年3月下旬に追手風部屋所属の床山に対して暴力を振るった問題が報道されました。被害者の床山は事件後に日本相撲協会を退職し、同年7月22日に追手風は日本相撲協会の生活指導部特別委員会から事情聴取を受けました。追手風は、その床山が部屋所属の力士にいじめをしていたとして「反省させるために殴った」と暴力に至った理由を説明し、自身だけでなくいじめを受けた若手力士にも殴らせたことを認めました。その後、元床山から慰謝料などを求めた民事訴訟を起こされましたが、2010年12月14日に熊本地方裁判所で和解が成立しました。

エピソード

日大4年生の時に放駒部屋へ出稽古をした際、十両・秀ノ花に左膝内側側副靭帯損傷の大怪我を負わせました。これが原因で、秀ノ花は番付を一時的に序二段まで下げ、その後は幕下と三段目の往復に終始しました。
新入幕当初の締め込みの色について、本人は赤ではなくワインレッドだと主張していました。
1991年5月場所の4日目に横綱・千代の富士との初顔合わせが組まれましたが、千代の富士が前日の貴闘力戦で敗れて引退したため、不戦勝となりました。
後に横綱となる曙や貴乃花とは比較的相性が良く、曙には5勝4敗と勝ち越し、貴乃花とは4勝4敗の五分で対戦を終えています。曙に勝ち越している唯一の力士です。

略歴

1989年1月：幕下付出で初土俵。
1990年5月：十両に昇進。
1990年9月：曙、貴闘力、若花田と共に新入幕。
1991年1月：前頭2枚目に昇進。横綱北勝海から初金星を獲得。
1994年3月：右アキレス腱部分断裂・腰部捻挫で休場。以後幕内には昇進できなかった。
1995年11月：引退。年寄・中川襲名。
1998年2月：年寄・追手風（追風山）と名跡交換。
1998年10月：追手風部屋創設。

主な成績

通算成績：266勝252敗35休 勝率.514
幕内成績：153勝176敗1休 勝率.465
現役在位：42場所
幕内在位：22場所
三賞：1回
敢闘賞：1回（1993年1月場所）
金星：3個（北勝海2個、大乃国1個）

各段優勝

十両優勝：1回（1990年5月場所）
幕下優勝：2回（1990年1月場所、1990年3月場所）

改名歴

山崎 直樹（やまざき なおき）1989年1月場所 - 1990年3月場所
大翔山 直樹（だいしょうやま なおき）1990年5月場所 - 1993年7月場所
大翔山 直生（- なおき）1993年9月場所 - 1994年1月場所
大翔山 裕康（- ひろやす）1994年3月場所 - 1994年5月場所
大翔山 直樹（- なおき）1994年7月場所 - 1995年11月場所

年寄変遷

中川 直樹（なかがわ なおき）1995年11月 - 1998年2月
追手風 直樹（おいてかぜ なおき）1998年2月 -

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