大聖寺 (京都市)

大聖寺

大聖寺は、京都市上京区にひっそりと佇む臨済宗系の単立寺院です。岳松山を山号とし、釈迦如来を本尊としています。この寺院は「御寺御所」とも呼ばれ、歴代24人の内親王が住職を務めた、皇室と深い繋がりを持つ尼門跡寺院として知られています。その地は、かつて室町幕府が置かれた花の御所の跡地の一部という歴史的な場所に位置しています。

歴史

大聖寺の開山は、無相定円禅尼です。彼女は俗名を日野宣子といい、足利義満の正室・日野業子の叔母であり、後光厳天皇の典侍を務めていました。貞治7年（1368年）に光厳法皇の法要が天龍寺で執り行われた際、春屋妙葩を導師として出家しました。足利義満は、花の御所内にあった岡松殿に定円禅尼を住まわせました。永徳2年（1382年）に無相定円が没した後、岡松殿を寺院としたのが大聖寺の始まりです。寺号は定円禅尼の法名に由来し、山号の岳松山は岡松殿にちなんでいます。

その後、大聖寺は長谷（現在の左京区岩倉長谷町）へ移転し、文明11年（1479年）には毘沙門町（現在の上京区上立売通寺町西入る）へと移りました。正親町天皇の皇女が入寺した際には、天皇から尼寺第一位の綸旨を得て、「御寺御所」と称される尼門跡寺院としての地位を確立しました。

延宝元年（1673年）に火災で焼失しましたが、元禄10年（1697年）に現在の場所へと再建されました。この地は、かつて花の御所があった場所の一角であり、創建の地に近い場所でもあります。また、江戸時代初期には聖護院があった場所でもありましたが、聖護院が延宝3年（1675年）に焼失し、現在の左京区聖護院中町に移転した後は空き地となっていました。

現在、大聖寺の境内北側と烏丸通を挟んだ東側は同志社大学のキャンパスとなっています。通常は非公開ですが、近年では2013年（平成25年）と2020年（令和2年）に「京の冬の旅」で特別公開され、その貴重な姿を垣間見ることができました。

境内

大聖寺の境内には、数々の歴史的な建造物や庭園があります。

本堂（国登録有形文化財）：元は東京都の赤坂御用地にあった青山御所の建物で、貞明皇后の御殿でした。1943年（昭和18年）に移築されました。
渡り廊下（国登録有形文化財）：1942年（昭和17年）に再建されたものです。
宮御殿（国登録有形文化財）：江戸時代後期に再建された書院で、文政8年（1825年）頃に改修されました。望月玉川筆の「秋草に鹿図」や「波に鶴図」などの襖絵が見どころです。
茶室「残月亭」（国登録有形文化財）：1938年（昭和13年）に建てられた茶室です。
庭園（京都市指定名勝）：元禄10年（1697年）に明正天皇の河原の御殿から材料を移して作庭された枯山水庭園です。
玄関（国登録有形文化財）：1923年（大正12年）に再建されました。
高塀（国登録有形文化財）：1942年（昭和17年）頃に築かれました。
東門：1922年頃（大正11年頃）に再建されました。
東面築地（国登録有形文化財）：1922年（大正11年）頃に再建されました。
不浄門
南面築地（国登録有形文化財）：江戸時代後期に再建されました。
表門（国登録有形文化財）：1922年（大正11年）に現在地に移築されました。

文化財

大聖寺には、以下の文化財が所蔵されています。

重要文化財
絹本著色一翁院豪像
無外如大自筆譲状
国登録有形文化財
表門
玄関
残月亭
高塀
東面築地
南面築地
本堂
宮御殿
渡り廊下
京都市指定名勝
* 大聖寺庭園

前後の札所

神仏霊場巡拝の道

97 宝鏡寺　-　98 大聖寺　-　99 相国寺

大聖寺は、その格式高い歴史と美しい境内を持つ、京都の隠れた名刹です。特別公開の機会には、ぜひその魅力を堪能してみてください。

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