大邱山高祥

大邱山 高祥（たいきゅうざん たかよし）の生涯に迫る

子供時代と出世の始まり

大邱山高祥は1907年9月5日、岡山県児島郡で陸軍の御用商人の家に生まれました。彼は、地元で活躍していた同郷の力士、常ノ花寛市に憧れ、1924年の秋に出羽海部屋に入門し、1925年1月の初土俵を迎えました。「大邱山」という四股名には、かつての韓国の都市に由来があるものの、実は彼の父親の仕事に伴って家族が同地に居住していたため名付けられたものでした。

大邱山は、初土俵から急速に出世を遂げ、1932年には春秋園事件による繰り上げで十両に昇進し、その翌月には幕内に名を連ねることとなります。入幕後は、彼の特徴的な突っ張りと、右四つからのニ度上手出し投げを多用し、力強い取り口でファンを魅了しました。

繁栄と困難

1934年には、同じ場所で優勝した男女ノ川登三に対し豪快な首投げを決め、8勝3敗という素晴らしい成績を残しました。その成果を受けて、同年5月には小結昇進、1937年には関脇に上がります。関脇となった後は、大関昇進が期待されるほどの実力を持っていましたが、前田山英五郎の昇進により夢は実現しませんでした。

この時期、彼は山科の娘婿となり、年寄山科を継いで二枚鑑札として現役を続けていきました。しかし、日中戦争が勃発すると、1941年には兵役によって一時的に土俵を離れることとなり、その後は番付外となります。1944年に復帰したものの、兵役中の疲れから成績は芳しくなく、この場所を最後に現役を引退します。

引退後の人生

引退後は年寄専務となり、戦後は名跡を間垣に変更。1950年1月には協会を廃業し、実業家として新たな道を歩むこととなります。彼も父親と同様に商業を営み、実業界での成功を目指しましたが、1983年6月14日に75歳で亡くなります。

いくつかのエピソード

大邱山は1932年の春秋園事件で、当時の力士天竜三郎の付け人を務めていました。事件の関与が懸念されましたが、天竜からの言葉で部屋に留まることを選びました。天竜を兄貴分のように慕っており、入幕後は彼の写真を床の間に飾り、場所入り前には必ず手を合わせていたというエピソードが残っています。

また、ライバルであった双葉山定次との関係は非常に親しいものでした。彼らは「大鉄傘下の花形力士」として知られ、互いに励まし合ったり、仲良く稽古に励む姿が印象的です。双葉山が全盛期を迎える中、大邱山は彼に勝つことが難しくなり、その自信を失っていく様子も伝えられています。

戦績

彼の通算成績は214勝195敗1分、勝率は.523。幕内成績は124勝135敗1分で、常に高いレベルで戦い続けました。三役在位としては関脇に2場所、小結に1場所あり、その卓越した取り口は多くのファンに愛されました。

大邱山高祥の足跡は、歴史に名を刻む力士として、今もなお忘れられない存在として語り草となっています。

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