天野元定

天野元定：毛利家を支えた武将

天野元定は、戦国時代の武将であり、毛利氏の家臣として活躍しました。安芸国賀茂郡志芳庄の米山城を拠点とする国人、生城山天野氏の当主として、その名を歴史に刻んでいます。彼の生涯は、毛利氏の勢力拡大に貢献した武功と、後継者問題に揺れた晩年によって特徴づけられます。

生涯

元定は、生城山天野氏の当主である天野興定の子として生まれました。天文10年（1541年）に父が亡くなると、兄の隆綱が家督を継ぎましたが、隆綱は厳島の戦いの直後の弘治元年（1555年）に嫡男を残さず急逝。その後、毛利元就の推挙により、弘治2年（1556年）に元定が家督を継承することとなりました。

元定は、毛利氏の防長経略に従軍し、数々の戦で武功を挙げました。弘治2年（1556年）3月には、周防国玖珂郡桂野で土寇を攻撃し、敵を撃破。同年4月には、周防国都濃郡下松の妙見山における陶軍との戦いにおいて、熊谷隆経らと共に奮戦し、敵兵500人余りを討ち取るという大勝利に貢献しました。

永禄5年（1562年）から始まった毛利元就の出雲遠征にも従軍。永禄8年（1565年）の月山富田城の戦いでは、突出した毛利輝元（後の当主）の軍を援護するため、天野隆重と共に軍法を破って先頭に駆け込み、奮戦しました。この功績は、元定の勇猛さを物語るエピソードとして語り継がれています。

永禄12年（1569年）5月16日、元定は亡くなりました。彼には実子がなかったため、後継者問題が浮上。元定の遺言により、同年6月23日に毛利元就の七男である元政が婿養子として迎えられ、生城山天野氏を相続することとなりました。この決定には、桂元忠が天野氏の家老たちに書状を送り、後継に関する取り決めを伝えています。

系譜

父：天野興定（1475-1541?）
母：天野元貞の娘
正室：明法妙円（?-1560） - 阿曽沼弘秀の娘
長女：天野元政正室
婿養子：天野元政

天野元定の死後

元定の死後、天野氏を継いだ元政は、毛利家臣として活躍。天野氏は、その後も毛利家を支え続けました。

参考文献

三卿伝編纂所編、渡辺世祐監修『毛利元就卿伝』（マツノ書店、1984年）
『萩藩閥閲録』巻2「毛利筑後」
防長新聞社山口支社編 編『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修、防長新聞社、1966年


天野元定は、戦国時代の動乱の中、毛利氏のために忠義を尽くし、武功を挙げた武将でした。彼の生涯は、毛利氏の歴史を語る上で欠かせない重要な要素となっています。

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