女流棋士会

日本将棋連盟女流棋士会



日本将棋連盟女流棋士会(にほんしょうぎれんめいじょりゅうきしかい)は、公益社団法人日本将棋連盟に籍を置く女流棋士たちによって組織された団体です。通常は単に「女流棋士会」と通称されますが、囲碁界にも同名の団体が存在します。

設立と目的



この会は、1989年に設立されました。これは、女流棋士制度が始まってから15周年を迎えた記念パーティが成功裏に終わったことを契機としています。日本将棋連盟の傘下にある任意団体として発足し、その設立の主な目的は以下の通りです。

女流棋士間の連携を深めること
各自の棋力向上に努めること
将棋の普及活動を推進すること

これらの目的に基づき、設立以来、女流棋士と将棋ファンとの交流を目的とした親睦将棋会や、女流棋士制度の節目の年を祝う記念パーティなど、様々なイベントを企画・実行してきました。

会員資格



原則として、日本将棋連盟に所属する女流棋士は、女流棋士会の会員となります。かつては、女流棋士として活動するための主な所属団体であり、日本将棋連盟の正会員とは別の位置づけでした。しかし、2010年の規則改定により、日本将棋連盟に所属し、かつ四段以上の棋力を持つか、あるいはタイトル獲得経験のある女流棋士は、連盟の正会員となる資格も有することになりました。

歴史的な経緯



女流棋士会の歩みは、いくつかの重要な出来事を経ています。

会員資格を巡る問題:2006年2月、当時の会長方針により、植村真理女流棋士と林まゆみ女流棋士の二名が、普及活動への姿勢などを理由に会から脱会処分とされる出来事がありました。これは、「女流棋士=女流棋士会会員」という従来の図式を崩すこととなりました。ただし、女流棋士としての対局資格は日本将棋連盟が認定するものであるため、両氏は会を離れた後も棋士としての活動を継続しました。
組織の自立を目指す動きと分裂:2006年頃からは、女流棋士自らがより主体的に活動できる組織のあり方が議論されるようになり、会内に改革を検討する委員会が設置されました。その流れの中で、2006年12月の臨時総会において、新しい団体設立に向けた準備委員会の設置が承認されます。しかし、この決定を巡って女流棋士会内部で意見の対立や混乱が生じました。この混乱の結果、2007年6月には藤森奈津子女流棋士、中井広恵女流六段ら17名の女流棋士が、日本将棋連盟および女流棋士会を退会し、独立した法人である「日本女子プロ将棋協会(LPSA)」を設立しました。これにより、女流棋士界は事実上の分裂状態となりました。一方、先に脱会処分となっていた植村氏と林氏は、組織改編を経た女流棋士会に2007年12月に復帰しています。
連盟内組織への移行と役員復活:女流棋士界の分裂と混乱を受け、日本将棋連盟は将棋界全体の統合と強化を図るため、2009年4月1日に棋士と女流棋士を包含する新たな「棋士会」を創設しました。この際、女流棋士会は形式的には存続するものの、専任の役員は置かれなくなり、その活動は連盟内の棋士会の一部門として位置づけられることになりました。新たな棋士会では、棋士と女流棋士双方から役員が選出され、女流棋士からも副会長が就任しています。しかし、その後、女流棋士会としての活動を再び活性化させようという機運が高まり、2010年4月1日には女流棋士会に再び役員が置かれる体制となりました。また、同日にはファンとの交流促進や活動支援を目的としたファンクラブ「駒桜」が創設され、テレビ番組での情報発信(『駒桜通信』)などの活動も行われましたが、ファンクラブは期待された成果が得られず、2015年3月末に発展的に解消されています。

現在の役員体制



役員復活以降、女流棋士会は会長を中心とした体制で運営されています。2023年6月30日に開催された総会にて選任された役員は以下の通りです。

会長:山田久美女流四段
副会長:村田智穂女流二段
役員:北尾まどか女流二段、室田伊緒女流二段

歴代会長



設立以来の歴代会長は以下の通りです(役員廃止期間を除く)。

蛸島彰子(1989年 - 2001年)
谷川治恵(2001年 - 2003年)
藤森奈津子(2003年 - 2007年)
谷川治恵(2007年 - 2009年3月)
関根紀代子(2010年4月 - 2013年3月)
矢内理絵子(2013年4月 - 2015年6月)
清水市代(2015年6月 - 2017年6月)
* 山田久美(2017年6月 - 現任)

主な主催イベント



定期的な親睦将棋会に加え、女流棋士制度の記念行事を主催しています。これまでに、制度発足20周年(1994年)、25周年(1999年)、30周年(2004年)、35周年(2009年)、40周年(2014年)、45周年(2019年)といった節目の年に記念パーティを開催しており、2024年には50周年記念パーティが予定されています。

関連事項



2007年に女流棋士会から独立する形で設立された日本女子プロ将棋協会(LPSA)は、女流棋士会とは異なる団体として活動しています。日本将棋連盟女流棋士会の最新情報や活動内容については、日本将棋連盟公式サイト内の女流棋士会ページにて確認することができます。

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