子午の役

子午の役について

子午の役（しごのえき）は、中国の三国時代にあたる230年に、蜀と魏の間で発生した戦闘を指します。この戦は、魏の大司馬曹真が蜀に対する大規模な侵攻を試みたことによって引き起こされましたが、惨憺たる結果を招くことになります。

前史

この戦いの背景には、228年に蜀の丞相諸葛亮が始めた北伐があります。彼は劉備の意志を受け継ぎ、魏に対して攻勢をかけました。蜀の軍は次第に魏の領地を侵食していきましたが、魏もこれに対抗し、街亭の戦いや陳倉の戦いで蜀軍を撃退しました。しかし、229年には諸葛亮が武都郡や陰平郡を奪うことに成功しました。

この状況を目の当たりにした曹真は、蜀への大規模攻撃が必要であると進言し、曹叡皇帝に複数の侵攻ルートを用いた作戦を提案しました。曹叡はそれを受け入れ、この侵攻は子午の役として知られることになります。

戦闘経過

232年8月、曹真は長安を出発し、兵を率いて進軍を開始しました。しかし、司徒華歆が指摘したように、長距離の食糧運搬や民の疲弊が問題となり、曹真の本隊は子午道を経由することに決定するなど、計画変更を余儀なくされました。これにより、様々な地形や危険を乗り越える困難な道を選ぶこととなりました。

この間、蜀軍は魏の動きを察知し、漢中太守魏延や驃騎将軍李厳を派遣し、守備を固めます。李厳は２万の兵を率いて、漢中を防御しました。魏軍の先鋒である夏侯覇は、先んじて興勢を包囲しましたが、蜀軍の反撃によって直ちに激闘となりました。

その後、大雨が続き、子午道では道が崩壊し、曹真の本隊は侵攻が困難になります。この状況がレスポンスに繋がり、蜀軍は魏軍の背後を突く作戦を展開しました。魏の進軍が停滞する中、諸葛亮は積極的に反撃に出て、魏軍を大破させました。

この敗北に加え、曹真は補給の問題や兵士の損失で苦しむことになります。9月に至ると、曹叡の指示の下、ついに全軍を撤退させる決断を下します。

後史

撤退した曹真は、洛陽に戻った後、重病にかかり、すぐに亡くなってしまいます。これにより、蜀との戦いは後に司馬懿の手に委ねられることになります。蜀では、戦後に功績を称えられた魏延が昇進し、呉懿も左将軍に昇格しました。

三国志演義における描写

『三国志演義』では、曹真の敗北後の描写が創作されており、彼が自らの才能の限界を嘆き、諸葛亮からの侮辱的な手紙を読んで憤死するという劇的な展開が取り入れられています。このフィクション的な要素は、曹真の評価を大きく変えるものとなっています。

結論

子午の役は、単なる戦闘にとどまらず、戦略や運の要素が絡み合った複雑な戦いでした。曹真の没落と蜀の防御指導者である諸葛亮の手腕が際立つ歴史的事件として今も語り継がれています。

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