華歆

華歆（か きん）

華歆（157年 - 232年）は、後漢末期から三国時代の魏にかけての政治家で、字は子魚（しぎょ）。

生涯

初期

青州平原郡高唐県（現在の山東省聊城市高唐県）に生まれました。若い頃から思慮深く、議論では常に公平を心掛け、人を傷つける言動を慎みました。邴原（へいげん）、管寧（かんねい）と共に遊学し、「一龍」と称されるほど親密な関係を築きました。華歆は龍の頭、邴原は腹、管寧は尾と見なされました。

袁術への従属と豫章太守

孝廉に推挙され郎中となりましたが、病気のため辞職。霊帝崩御後、何進に召し出され尚書郎となります。董卓が実権を握ると、下邽県令を願い出ますが、病のため赴任できず。後に袁術に引き留められましたが、董卓討伐を進言しても容れられなかったため、袁術の元を去りました。その後、豫章太守に任命され、その公正な政治手腕で民から敬われました。

孫策への降伏と曹操への仕官

孫策が豫章に侵攻すると、華歆はその才覚を認め、降伏。孫策は華歆を厚遇しました。孫策の死後、孫権に仕えましたが、曹操からの招聘を受け魏に仕官することになります。出発の際、多くの人々から餞別を受けましたが、全て送り返したという逸話が残っています。

魏の重臣として

中央に赴くと議郎に任命され、司空の軍事に参与。その後、尚書、侍中といった要職を歴任し、尚書令に任命されました。曹操の孫権征伐では軍師として従軍し、後漢の御史大夫となりました。曹丕（文帝）が即位すると、魏の相国に任命され、後に司徒に改称されました。華歆は清貧に甘んじ、俸禄や恩賞を親族に分け与えたため、家にはほとんど貯えがなかったと言われています。

晩年

曹丕に隠遁を願い出ますが、聞き入れられず。曹叡（明帝）の時代には博平侯に封じられ、太尉に任じられました。曹真が蜀漢に侵攻しようとした際には、非戦論を唱えました。231年に病死し、敬侯と諡（おくりな）されました。

評価

陳寿は『三国志』において、華歆を純潔で徳性を備えた人物と評価しています。一方で、『世説新語』では、厳格ながらも情のある人物として描かれています。

三国志演義

小説『三国志演義』では、伏皇后の廃位に際して暴挙を行うなど、冷酷な人物として描かれています。曹丕に献帝への禅譲を強要する場面や、司馬懿を陥れようとする場面など、悪役としての描写が目立ちます。

子孫

華歆の子孫は魏・晋の時代に栄え、孫の華嶠（かきょう）は『漢書』を著しました。

華歆は、激動の時代を生き抜いた政治家であり、その清廉な人柄と優れた政治手腕で、多くの人々に影響を与えました。

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