孫静

孫静（そん せい）

孫静（そん せい）は、後漢末期の人物で、字は幼台（ようだい）。揚州呉郡富春県（現在の浙江省杭州市富陽区）の出身です。父は孫鍾（そんしょう）、兄に孫羌（そんきょう）と孫堅（そんけん）がいます。

生涯

孫静は、兄の孫堅が挙兵した際、同郷や一族の人々、およそ五、六百人をまとめて後方支援を担いました。孫堅が戦死した後、その息子の孫策（そんさく）は袁術（えんじゅつ）の下を離れ、揚州刺史の劉繇（りゅうよう）を破って独立を果たします。孫策が会稽郡（かいけいぐん）へ進出するにあたり、招聘を受けた孫静は一族を率いて孫策のもとへ駆けつけ、銭唐県（せんとうけん）で合流しました。

当時、会稽太守の王朗（おうろう）が固陵（こりょう）で守りを固めており、孫策は攻略に苦戦していました。そこで孫静は、まず要地である査瀆（さとく）を急襲して足場を固めるよう進言しました。孫策がこれを承認すると、孫静は篝火（かがりび）を焚いて王朗の目を欺きつつ、高遷（こうせん）にある王朗の本陣を奇襲しました。王朗は慌てて周昕（しゅうきん）を救援に差し向けましたが、孫策が出撃してこれを撃破し、そのまま会稽の平定に成功しました。孫策は孫静の功績を認め、朝廷に上表して孫静を奮武校尉（ふんぶこうい）に任じ、重要な任務を与えようとしましたが、孫静は故郷に留まることを望んで辞退したため、孫策はこれを許しました。

孫策の死後、その弟の孫権（そんけん）が当主となると、孫静は官位を受け、昭儀中郎将（しょうぎちゅうろうしょう）まで昇進しましたが、後に再び官職を退き、故郷で亡くなりました。

孫静には五人の息子がおり、それぞれ孫暠（そんこう）、孫瑜（そんゆ）、孫皎（そんこう）、孫奐（そんかん）、孫謙（そんけん）といいます。彼らもまた孫権に仕え、孫瑜は奮威将軍（ふんいしょうぐん）、孫皎は征虜将軍（せいりょしょうぐん）、孫奐は揚威将軍（よういしょうぐん）の官位に昇りました。

三国志演義

羅貫中（らかんちゅう）の小説『三国志演義』では、第7回に登場します。孫堅の劉表（りゅうひょう）攻撃に反対しますが、聞き入れられず、その結果、孫堅は戦死してしまいます。その後、第15回の王朗との戦いでは、史実と同様に孫策の勝利に貢献する役どころで描かれています。

参考文献

* 陳寿 著、裴松之 注『三国志』呉書 孫静伝

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