宇多川勝太郎

宇多川 勝太郎（うだがわ かつたろう、本名・宇田川 秀男）は、1939年12月3日に東京都足立区で生まれた大相撲力士です。最高位は東前頭3枚目。現役時代は身長179cm、体重110kgの体格で、左四つからの寄りを最も得意としていました。入門当初は高嶋部屋に所属しましたが、後に吉葉山が興した宮城野部屋に移籍し、引退までその部屋で過ごしました。

宇多川が角界へ足を踏み入れたのは、中学3年生の時でした。近所に住んでいた肉屋の主人が、当時の横綱・吉葉山と知人だった縁で紹介を受け、高嶋部屋への入門が決まります。入門後すぐに吉葉山の薫陶を受け、彼が独立して宮城野部屋を創設した際には、迷わず行動を共にしました。1954年9月場所で力士としての第一歩を踏み出しましたが、この場所で共に初土俵を踏んだ中には、後に横綱となる柏戸がいました。初土俵場所で番付外と新序において続けて良い成績を残した宇多川は、翌場所では序ノ口を飛び越えて、異例の序二段に名前が載ります。

同期の柏戸には出世で先行を許したものの、宇多川も着実に番付を上げていきました。1959年5月場所では、19歳という若さで十両昇進を果たします。これは足立区出身者として初めての関取誕生として記録されました。この新十両の場所では、後に柏戸と共に「柏鵬時代」を築くことになる後の横綱・大鵬も同時に昇進しています。宇多川は十両をわずか4場所で通過し、その間には十両優勝も1回（1959年9月場所）経験するなど、一度も負け越しはありませんでした。そして1960年1月場所、大鵬と共に新入幕を果たします。この時の四股名は、本名の「宇田川」でした。「宇多川」への改名は1961年5月場所のことです。

しかし、柏戸や大鵬といった同期との出世争いは、この辺りまでがピークとなりました。宇多川の相撲は、左四つからの寄りを基本とする正攻法で、その堅実な取り口は玄人筋からは高く評価されていました。一方で、攻めがやや遅いという課題があり、これが幕内上位に定着し、三役へと進む上で壁となりました。最高位は1962年1月場所の東前頭3枚目でしたが、ここでは5勝10敗と負け越しています。それでも、この場所の初日には大関・北葉山を破る金星（当時は銀星）を獲得しました。さらに同年7月場所では、4日目に大関・佐田の山、7日目には大関・琴ヶ濱と、二人の大関を続けて破る活躍を見せ、合計3個の銀星を挙げました。

稽古熱心だった宇多川は、部屋に所属するアンコ型の押し相撲を得意とする廣川のような異なるタイプの力士がいたことが、同じ部屋の明武谷を強くする要因になったとも言われています。

新入幕から数えて、26場所連続で幕内の地位を維持しましたが、1964年5月場所で4年半ぶりに十両へ陥落してしまいます。これ以降は幕内と十両を往復するようになり、かつての勢いは見られなくなりました。そして1967年3月場所では、西十両16枚目で1勝14敗と大きく負け越し、ついに念願だった関取の地位を失いました。その後は怪我や病気による休場が続き、幕下60枚目まで番付を下げた同年7月場所限り、27歳という若さで土俵を去ることとなりました。

現役引退後は、相撲協会に残る道を選び、中村、楯山、大鳴戸、雷などいくつかの年寄名跡を借りて後進の指導にあたりました。しかし、次第に病気が進行し、親方としての職務を続けることが困難になったため、1977年12月に協会を廃業しています。

協会を離れた後は、第二の人生としてちゃんこ料理店を開業しましたが、ここでも病が立ちはだかり、わずか6年ほどで店を閉じることとなりました。晩年は病と闘いながら過ごし、1989年7月24日に惜しまれつつ逝去しました。享年49歳でした。

宇多川勝太郎は、土俵入りで使用した化粧廻しにまつわるユニークなエピソードも残しています。それは、電池仕掛けで龍の目が光るという特別な化粧廻しであったといいます。

主な成績としては、通算成績が445勝442敗15休（勝率.502）、幕内成績が207勝258敗（勝率.445）です。現役在位場所数は71場所、幕内在位場所数は31場所でした。各段優勝は十両優勝1回（1959年9月場所）を記録しています。

力士としての改名歴は多く、入門時の「宇田川 勝太郎」から始まり、「宇多川 勝太郎」、「宇多川 秀吾」、「宇多川 寿雄」、「宇多川 勝太郎」、「宇多川 雷藏」と変え、引退直前には再び「宇田川 勝太郎」に戻しています。年寄としては、中村、楯山、大鳴戸、雷を名乗りました。

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