「安」姓について
「安(あん、アン、朝: 안)」は、主に中国と朝鮮半島に分布する姓です。それぞれの地域で異なる歴史と文化的背景を持ち、多様な人物がこの姓を名乗っています。
中国の「安」姓
中国の「安」姓は、
西域(現在の新疆ウイグル自治区周辺)出身者の子孫が名乗ることが多いとされています。ただし、中国本土における人口はそれほど多くなく、2020年の統計では上位100姓に入っていません。
台湾でも比較的珍しい姓で、2018年の統計では164番目に多い姓として3,495人が確認されています。
中国の「安」姓を持つ著名な人物としては、以下の例が挙げられます。
安世高:後漢時代に活動した仏教僧で、安息国(現在のパルティア)出身です。
安禄山:唐代の軍人で、康国(現在の
サマルカンド)出身。後に初代大燕皇帝を称しました。彼の子である
安慶緒もまた、2代皇帝となっています。
安又琪:アイドル歌手で、「超級女声」シーズン1で優勝しました。
また、フィクション作品の中では、『水滸伝』に登場する安道全という人物が知られています。
朝鮮の「安」姓
朝鮮における「安」姓は、韓国を中心に広く分布しています。俗説では、姜姓、崔姓と共に「안강최」と呼ばれ、頑固な人々のステレオタイプとして見なされることがあります。
朝鮮の「安」姓を持つ著名な人物は、多岐にわたります。
安昌浩:独立運動家として知られています。
安重根:独立運動家で、伊藤博文を暗殺したことで有名です。
安昌男:朝鮮人初の飛行士として記録されています。
安益泰:韓国の作曲家、指揮者として活躍しました。
安寿吉、安正孝:
韓国の小説家として知られています。
安哲秀:韓国の国会議員であり、実業家としても活動しています。
安相洙、安商守:
韓国の
国会議員や市長を務めた人物です。
安熙正:元忠清南道知事として活躍しました。
安貞桓、安泳奎、安成男、安太銀:
サッカー選手として活躍しました。
アン・ソヒョン:フィギュアスケート選手として知られています。
安秉万:大学教授として教育に携わっています。
安浩相:歴史学者、哲学者、作家、そして国会議員として活動しました。
アン・ジェウク、アン・ソンギ:俳優として数々の作品に出演しています。
Kangta:歌手として活動し、本名は安七炫です。
デニー・アン、アン・チファン:歌手として活躍しています。
アン・ソヒ:アイドルグループWonder Girlsの元メンバーです。
ニエル:アイドルグループ
TEEN TOPのメンバーで、本名はアン・ダニエルです。
キョンウォン・アン:米国のthe United Taekwondo Associationの創始者です。
ヴィクトル・アン:
ショートトラックスピードスケート選手で、
韓国と
ロシアでオリンピック金メダルを獲得しました。本名は安賢洙です。
ミハイル・アン:ソビエト連邦のサッカー選手でした。
フィリップ・アーン:アメリカの俳優です。
プリシラ・アーン:アメリカのシンガーソングライターとして活躍しています。
アン・ユジン:
IZ*ONE、IVEのメンバーとして活動しています。
「安」姓の氏族
朝鮮の「安」姓には、文献上109本の
本貫が伝えられていますが、主要なものとしては順興(スンフン)、竹山(チュクサン)、広州(クァンジュ)の三つが挙げられます。特に順興安氏は、安姓全体の過半数を占めています。2000年の国勢調査では、41本の
本貫が確認されています。
まとめ
「安」姓は、中国と朝鮮において歴史的に重要な姓であり、それぞれの地域で異なる文化的背景と多様な人物を生み出してきました。この姓を持つ人々は、歴史、政治、芸術、スポーツなど、さまざまな分野で活躍しており、その多様性が「安」姓の興味深い特徴と言えるでしょう。